円下落、日銀会合やEU首脳会議控え買い圧力緩和

東京外国為替市場では円が下落。対 ドルでは1ドル=79円台前半で取引された。ギリシャを中心とした欧州 情勢の不安定化懸念を背景に投資避難先として円の上昇圧力がくすぶる 中、日本銀行の金融政策決定会合や欧州連合(EU)の臨時首脳会議を 控え、目先は円買い圧力が緩和した。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、23日のEU首脳 会議では「少し対策が出る可能性も残っている」とした上で、ユーロ売 りが緩むとみており、クロス・円(ドル以外の通貨の対円相場)を中心 に「円が売られやすくなる」と説明。また、日銀会合では恐らく政策の 変更はないとし、白川方明総裁の記者会見で、「次につながるような発 言」が出るかどうかが注目だと言う。

ドル・円相場は前週末の海外市場で79円ちょうど近辺と、2月17日 以来の水準までドル安・円高が進み、週明けの東京市場では79円台前半 に値を戻して推移。一時は79円29銭まで円が売られ、午後3時40分現在 は79円30銭付近で取引されている。

佐藤氏は、ドル・円相場は78円台で「テクニカル的に重要なポイン トが多くある」と指摘。これらの水準を割り込むと、「時間をかけなが ら75円テストかなという相場観が蔓延しかねない」とし、ここからの円 買いは慎重にならざるを得ないとみている。

また、ユーロ・円相場は前週末に一時1ユーロ=100円21銭と、2 月6日以来の水準までユーロ安・円高が進行していたが、101円台前半 で週明けの日本時間早朝の取引を開始。その後、101円台を割り込む場 面も見られたが、一時は101円42銭と、2営業日ぶりの円安値を付け、 午後3時40分現在は101円29銭付近で推移している。

日欧の材料見極め

日銀は22、23日の日程で金融政策決定会合を開くが、ブルームバー グ・ニュースが有力日銀ウオッチャー14人を対象にした調査では、全員 が政策の据え置きを予想。日銀は前回4月27日の会合で、資産買い入れ 等基金における長期国債買い入れを10兆円増額する追加緩和を実施し た。それから3週間余りしか経っていないことから、ひとまず今回は現 状維持が決定されるとみられている。

外為どっとコム総合研究所の川畑琢也研究員は、日銀の会合につい ては、前回の会合で緩和した直後なので、「さらに追加で打つかどうか というのは微妙な感じはする」と指摘。ただ、株価がここにきて下げて いるので、「そこが一つポイントになるかもしれない」と言い、このま ま円高が進んでくるようであれば「日銀へのプレッシャーはかかりやす い」とした上で、口先介入も見込まれ、円の上値が抑えられる可能性が あるとみている。

また、欧州ではEUの臨時首脳会議を23日に控えて、ショイブレ独 財務相が21日、就任したばかりのモスコビシ仏財務相とベルリンで初め て会し、ユーロ圏の問題を討議する予定。独仏首脳は、成長を刺激した いオランド大統領の要望と歳出削減を優先したいドイツの立場との妥協 点を探る。

欧州不安根強い

一方、米ワシントン郊外のキャンプデービッドで18、19日の両日に 開かれた主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)は、首脳宣言で「世 界の安定と回復のために強く結束したユーロ圏の重要性で合意し、ギリ シャが公約を守りながらユーロ圏にとどまることへの関心を確認する」 と強調した。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、23日に欧州連合 (EU)臨時首脳会議が予定されており、域内の金融不安拡大阻止に向 け何らかの具体的な行動が取られるかどうかがポイントになると指摘。 その上で、今週は同会議以外に注目イベントや経済指標の発表がないこ とから、「ポジション調整を呼び込む可能性がある」とみている。

ただ、鈴木氏はギリシャやスペインに対する不安が継続するため、 ユーロの上値は重く、市場の「戻り売り意欲は強い」とも語る。

前週末に一時1ユーロ=1.2642ドルと、1月16日以来の安値を付け たユーロ・ドル相場は、東京市場で1.28ドル台前半まで値を戻す場面も 見られたが、午後の取引では1.27ドル台後半に押し戻された。

スペインの財務・公共行政省が18日に電子メールで配布した資料に よると、2011年の財政赤字が国内総生産(GDP)比8.9%に修正さ れ、従来の8.5%から引き上げられた。これを受けて、EU統計局(ユ ーロスタット)は2週間以内に調査チームを派遣する計画だという。

また、スペイン銀行(中央銀行)の発表によると、同国内の銀行融 資に占める不良債権比率は3月に8.37%と、2月の8.30%(改定値)を 上回り、1994年8月以来の高水準となった。第1四半期に不良債権化し た融資は前年同期から90%増加したという。

スペイン政府は今月11日、支払遅延が生じていない不動産関連融資 について、銀行に貸し倒れ引当金として約300億ユーロの積み増しを課 す方針を発表。2月に命じた約540億ユーロの引当金や資本の積み増し をさらに引き上げた。

--取材協力:石川茉莉子、小宮弘子 Editors: 青木 勝, 持田譲二

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