【今週の債券】長期金利0.8%割れも、欧州懸念で-20年入札に警戒

今週の債券市場で長期金利は9年ぶ り低水準の0.8%割れを試す展開が見込まれている。欧州債務問題の深 刻化で、リスク回避資金が国内債市場に流入しやすいことが背景。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グ・ニュースが18日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは全 体で0.75-0.86%だった。同レンジの下限は2003年6月以来の低い水準 となる。前週末の終値は0.83%。

前週の長期金利は一時0.815%まで下げて、9年ぶりの低水準を記 録した。欧州債務問題や米国景気懸念を背景に内外株価が大幅下落し、 比較的安全な日本国債が買い進まれた。

ギリシャの政局不安やスペインの金融システムに対する懸念は広が っている。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペ インの銀行16行の格付けを引き下げたほか、フィッチ・レーティングス はギリシャを格下げした。

こうした中、日銀は22、23日に金融政策決定会合を開催する。前回 4月末の会合で追加緩和に踏み切ったばかりということもあり、今回は 現状維持が予想されている。しかし、欧州債務問題に対する不透明感が さらに強まると、株安・債券高の動きが加速する可能性が高まる。トヨ タアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは、「円高・株 安で、日銀が緩和に動く可能性も否定できない」とみている。

20年入札が焦点、不安視する声も

一方、金利低下の進展で、市場では高値警戒感が出ており、20年債 入札結果が低調となれば、売り圧力が強まるとの見方もある。バークレ イズ・キャピタル証券の丹治倫敦債券ストラテジストは、「一方向の金 利低下への警戒感も高まってくる。金利水準の低さなどから20年債入札 をこなせないようだと、市場センチメントに変化を来たす恐れもある」 と警戒する。

24日に20年国債(5月発行)の入札が実施される。前週末の入札前 取引では1.59%程度で推移しており、表面利率(クーポン)は前回債よ り0.1ポイント低い1.6%となる見込み。1.6%で決まれば10年8月以来 の低い水準。発行予定額は1兆2000億円程度。

JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長 は、20年債入札について「相場状況次第だが、高値警戒感があるので低 調になるかもしれない」とみている。

18日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は6月物、10年国債利回りは新発の322回債。

◎バークレイズ・キャピタル証券の丹治倫敦債券ストラテジスト

先物6月物143円00銭-144円30銭

10年国債利回り=0.75%-0.85%

「長期金利は0.8%を割り込む場面がありそう。ギリシャ再選挙ま での1カ月間に欧州の緊張が大きく緩和する可能性は低く、米国をはじ め海外の金利低下の影響を受けやすい地合いが続く。とりわけ、超長期 ゾーンの買いがけん引する格好で金利は低下余地を探り、03年、10年と 同様にブル・フラット(平たん)化が進展しそう」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物6月物143円25銭-144円00銭

10年国債利回り=0.78%-0.85%

「10年金利の0.815%は通過点で、98年や03年の低下局面と近い展 開だろう。欧州問題がより深刻に受け止められ、スペインの銀行の問題 も成長センターである中南米諸国向け融資との関係から世界経済に与え る影響が大きい。超長期債に銀行の買いが入り始めている。世界的なソ ブリンリスクの高まりで日米独国債だけが買われる状況で、ブル・フラ ット化の進展が再び正当化されつつある」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物6月物143円20銭-144円10銭

10年国債利回り=0.77%-0.86%

「海外動向を含めて世界的に低金利の環境となっており、日本国債 も売られにくい状況が続く。長期金利は0.8%割れの可能性がある。た だ、どこかのタイミングで高値警戒感が強まるのではないか。日銀決定 会合は、各種国債買い入れオペが札割れになっており注目される。EU (欧州連合)臨時首脳会議も焦点。欧州中央銀行(ECB)は、いずれ スペイン・イタリアの国債買い入れを増額すると予想している」

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