コンテンツにスキップする

「国進民退」の中国、政府と強過ぎる国有企業との闘争が勃発

北京で開催された米中戦略・経済対 話が終わる今月4日の夕方、中国側は米国が中国企業の配当が増えると 期待していいと請け負った。

中国政府は同日の共同声明で、国有企業の配当性向を「着実」に引 き上げると表明。国有企業の売上高は国内総生産(GDP)の半分相当 を突破。5年前は40%前後にとどまっていた。春華資本の胡祖六(フレ ッド・フー)会長は、問題となっているのは国有企業の影響力抑制だと 指摘する。

中国では国有企業もしくは政府が経営権を握る企業が合わせて約10 万社あるが、こうした企業は安価な土地や融資、エネルギーを入手でき る特権にあずかっている。国有企業が利益の大半、もしくは全てを自ら のために活用可能なら、経済に対する影響力を強めることができるが、 政府が増配を促すことができれば国有企業の力が弱まることになるとブ ルームバーグ・ビジネスウィーク誌(5月21日号)は伝えている。

米ゴールドマン・サックス・グループの中国部門会長を務めていた 胡氏は、「国家による独占力の大きな拡大を政府がつかさどるのを目の 当たりにしてきた」と述べる。その上で、この傾向を止められなければ 競争力を備え活気ある急成長を続けてきた中国経済の将来は「非常に疑 わしいものになる」との認識を示す。

盟友

幾つかの赤字国有企業が閉鎖され、大量の労働者が解雇された時期 から10年余りを経た今、航空と鉄道、鉄鋼、通信、金融、エネルギー、 電気の各業界を支配しているのは国有企業だ。政府が2008年に記録的規 模の景気対策を講じてから強まったこの傾向を、人々は「国進民退」と 呼ぶ。

中国経済の成長鈍化に伴い、国が主導する資本主義に対する新たな 検証が始まっている。温家宝首相は4月3日のスピーチで、国有銀行の 独占的な力を批判。温首相ら首脳は、民間を圧迫するほど国有企業が強 くなりつつあることを懸念している。この闘争での温首相の盟友は、国 務院発展研究センターの劉鶴副主任だ。劉氏は米ハーバード大学で学ん だこともあり、同センターは数年にわたり配当問題を重視してきた。

この闘争の反対側の主役は国務院国有資産監督管理委員会(国資 委)だ。そこで最も影響力を持つのが邵寧副主任で、10代の頃に文化大 革命を経験し、陝西省の僻地の農場での労働を生き抜いたベテラン官僚 だ。邵氏の野望は、最大級の多国籍企業と競い合える国有企業を育てる ことだ。

新たなバブル

10年に一度の指導部交代を控えた中国で始まった国有企業をめぐる 論争は、重慶市の共産党委員会書記を解任された薄熙来氏の問題とも重 なる。多額の資金借り入れを通じた公的部門主導による成長モデルで名 をはせた薄氏は、トップを務めた重慶市に昨年16.4%成長をもたらした が、党中央から党政治局委員の役職も停止され失脚した。薄氏の問題 は、中国では1989年の天安門事件以来の大きな政治的混乱を引き起こし ている。

大半の中国国有企業は依然として無配だ。最も収益性の高い国有企 業でも配当性向は最高で15%だ。ファン・グローバル・インスティチュ ート(経綸国際経済研究院)のエコノミスト、ルイス・クイジス氏によ れば、他国では国有企業の配当性向は平均33%。

政府主導の投資ブームが息切れしつつある今、支出を重ねながらさ ら拡大する国有企業が問題となっている。民間企業が苦しんでいる間に も、安価に借り入れた融資をリスクの高い不動産に投じ、新たな資産バ ブルの種をまいているとみている向きも多い。

原題:China Battles China as State Enterprises Set to Boost Dividends(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE