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【日本株週間展望】20年ぶり8週続落も、ユーロ瓦解恐れ質への逃避

5月4週(21-25日)の日本株は、 日経平均株価が20年ぶりに8週連続で下げる可能性がある。ギリシャ のユーロ離脱リスクに投資家の警戒感が強まっており、統一通貨への 信頼が一段と揺らげば、世界景気や金融市場への悪影響は免れない。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部長の藤戸則弘氏 は、「ポートフォリオマネジャーがおびえている。ユーロへの疑念が高 まり、これまでがフィクションだったかどうかが問われている」と指 摘。ここ2年間と同様、「危機が政策を引き出す展開」とみるが、欧州 安定化メカニズム(ESM)の拡充、米連邦準備制度理事会(FRB) の量的緩和第3弾(QE3)、日本銀行の追加金融緩和など今後想定さ れる政策の「決定にはまだ時間がある」とした。

6日の総選挙後のギリシャ連立政権協議は決裂し、来月17日に再 選挙が実施される。世論調査では欧州連合(EU)、欧州中央銀行 (ECB)、国際通貨基金(IMF)のトロイカによる救済に反対姿勢 を示す急進左派連合が支持を伸ばし、合計2400億ユーロの国際支援の 条件である財政緊縮公約に関し、新政府が撤回する可能性が出ている。

再選挙が決まった15日、ショイブレ独財務相はEU財務相会合後 に記者団に対し、「ギリシャがユーロ圏にとどまりたいなら、条件を受 け入れなければならない。大多数の総意だ」と強調。ギリシャが救済 条件を受け入れない場合、ユーロ残留は「不可能」とした。

ばかげたことが現実味

18日の為替市場では、ユーロ・ドルが一時1ユーロ=1.2655ドル と1月17日以来、ユーロ・円は1ユーロ=100円23銭と2月6日以 来のユーロ安水準を記録。英スタンダードチャータード銀行のエコノ ミスト、トーマス・コスタグ氏は「今までギリシャのユーロ離脱はば かげたことと見られていたが、次第に可能性の高いシナリオになりつ つある」と受け止める。

「国民の不満が人気を押し上げる急進左派連合が第1党となるの は確実。同党はモラトリアム(支払猶予)、借金の棒引きを言い、これ をトロイカが認めるわけがない」と三菱Uモルガン証の藤戸氏。ギリ シャのユーロ離脱が実際に決まるまでは2、3年はかかろうが、「ユー ロ圏はこれまでなかったスキームづくりを既に始めているだろう。ユ ーロのもう一段安は避けられない」との見方を示した。

ギリシャ国内の銀行から総選挙後に最大7億ユーロの預金が引き 出されたことが分かるなど、取り付け騒ぎの予兆も見える同国が一層 混迷を深めれば、リスク資産圧縮の流れが加速することは必至。さら に、昨年末時点で約700億ユーロのギリシャ向け投融資を抱える欧州 系金融機関など企業、経済全体にもマイナスの影響が表面化しそうだ。

債券買い・株式売り

投資家の安全資産志向は、高債務国として不安視されるスペイン 10年物国債利回りが昨年11月以来の高水準となる半面、英・独10年 物は過去最低を更新、日本は9年ぶりの低水準を付けた状況が顕著に 物語る。他方、世界の株式は5月月初から17日までに主要95指数の うち、82指数が下落。ECBによる長期リファイナンシングオペ(L TRO)が実施された昨年12月以降、過剰流動性期待で株式に楽観的 だった4月末までで見れば、下落は17指数にとどまっていた。

世界の中で時価総額が大きく、円高による業績悪化懸念もある日 本株への風当たりは強く、日経平均は第3週を3.8%安で終え、7週 連続の下落。過去に7週続落は、米国の同時多発テロ発生前後の2001 年8-9月、歴史的円高が進んだ1995年2-3月にあった。8週続落 となれば、バブル経済崩壊過程の92年3-5月以来となる。

需給面では、海外投資家の売り姿勢が強まっており、5月2週ま で4週連続で売り越し、同週の売越額は2074億円と前の週の483億円 から拡大した。米BOAメリルリンチのファンドマネジャー調査によ ると、5月は株式の資産配分比率が26%から16%に低下した半面、現 金が24%から28%と昨年12月以来の水準に上昇。5月上旬に米国投 資家を訪問したメリルリンチ日本証券の菊地正俊ストラテジストは、 「世界の投資家の日本株への弱気が増えた」としている。

増益シナリオに暗雲

国内の決算発表も一巡、みずほ証券リサーチ&コンサルティング のまとめでは東証1部3月決算企業(全産業)の1279社中、75%が発 表を終えた時点で13年3月期の経常利益予想は19%増。電機やその 他製品、輸送用機器など加工産業を中心とした製造業の回復が主導し、 前の期の15%減から回復が見込まれている。

17日に内閣府が発表した1-3月期の実質国内総生産(GDP) も、前期比年率で4.1%増とブルームバーグのエコノミスト予想の中 央値3.5%増から上振れ、3期連続のプラス成長。エコカー補助金、 震災復興に向けた公共投資による内需堅調、輸出の持ち直しが寄与し た。SMBC日興証券のチーフエコノミスト、牧野潤一氏は民間消費 の反動、欧州情勢に注意を促しつつ、米経済の回復などから「日本経 済は4-6月期もプラス成長を維持する可能性が高そうだ」とみる。

これに対し三菱Uモルガン証の藤戸氏は、対欧州の貿易比率が2 割を超す中国経済が明確に減速し、これがブラジルやオーストラリア など資源国の需要減退に及んでいる点に言及。「日本の外需は今後目に 見えて落ちてくるだろう」とし、日本株も日銀の指数連動型上場投資 信託(ETF)買いや年金基金の買いなどで自律反発はあるが、「押し 目買いを言っている人々のスタンスが変わるまで、相場の方向性は変 わらない」と指摘した。

第4週に注視される材料は、国内では22、23日に日銀の金融政策 決定会合、24日に気象庁の3カ月天気予報、25日に4月の消費者物価 指数が公表予定。海外では22日に5月のユーロ圏消費者信頼感指数、 4月の米国中古住宅販売、23日にEUの非公式首脳会合などがある。

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