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全日空社長:日航との競争環境で公正さを要求-将来の利益の差を懸念

全日本空輸の伊東信一郎社長は17 日、都内で開いた記者会見で、日本航空との現在の競争環境は公平・公 正なものではないとの認識を示し、今後、是正が必要だと主張した。経 営破たんした日航が2012年3月期連結決算で過去最高の利益を計上した ことを受けて発言した。

伊東社長は、日航の救済は制度上は合法と認めながらも、その実施 が「適切だったかどうか」と疑問を呈した。日航の経営努力については 「評価できる」と述べた一方で、「更正会社への特例もある」として、 税制面での有利な点があると指摘した。

同社長は、何らかの改善が望ましいとしたが、現時点で具体的に何 かを政府などに求めていくつもりはないとの考えを示した。ライバルで ある日航について、公式の場で言及するのはほぼ2年ぶり。これまで は、他社事業に口出しする立場にはないとして、自社の収益拡大に専念 してきた。しかし、現在の日航に対する「特例が長く続けばかなり利益 の差が生じると危惧している」と述べ、危機感を示した。

全日空の前期連結売上高は前期比4%増の1兆4115億円、純利益 が21%増の282億円だった。一方、日航は売上高が1兆2048億円、純利 益は1866億円だった。昨年の東日本大震災や福島原子力発電所の事故で 旅客需要が低迷。さらに燃油高などで経営環境が悪化するなか、全日空 はコスト削減の前倒し実施で黒字を確保したものの、純利益ベースでは 日航と6.6倍の差をつけられた。

日航の好業績は、再建に当たった稲盛和夫名誉会長の下で、路線や 部門別採算性の導入、大胆な不採算路線撤退と人員削減、さらに機材の 最適化などの努力が功を奏した結果だ。一方で、会社更生法適用により 減価償却費負担の大幅減や法人税の免除なども寄与した。同社は昨年度 の税制改正を受け、長期にわたる法人税が免除される見通し。

日航の利益は、世界の航空会社との比較でも群を抜く水準となって いる。売上高で日航の2倍を超える世界最大の米ユナイテッド航空の純 利益(11年1-12月期)は669億円と日航に及ばない。機材への巨額な 先行投資が必要な業界で2兆円を超える債務を抱えていた企業がわずか 2年で立ち直ったことになる。

日航が企業再生支援機構から受けた3500億円出資などの支援の期限 まで残り8カ月。同社は東証に再上場を果たし、資金調達で返済に充て る必要に迫られており、好業績を足がかりに年内の上場実現を急ぐ。一 方、全日空は積極的に機材へ設備投資し、国際線を拡充させて名実とも に日本のナショナルフラッグとしての地位を固める戦略だが、日航の急 激な業績回復を受け、公平な制度実現に向け世論に訴える構えだ。

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