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野村HD:足利銀を12月にも上場へ、IPOで保有株放出-投資回収

野村ホールディングスが保有する地 銀の足利ホールディングス株式を新規株式公開(IPO)により年内に も売り出す方向で検討していることが分かった。実現すれば大規模な投 資回収となる。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

野村は足利HDを早ければ12月にも東京証券取引所1部に上場さ せる。時価総額は2000億-3000億円とみられる。野村は経営破綻し一 時国有化された足利を2008年に買収、現在は普通株約46%や優先株を 保有しており投資総額は約1200億円。足利は12年3月期決算で増益を 確保、不良債権処理額も減っている。

野村の菅井馨子広報担当は、足利HDのIPOについてコメントを 控えた。足利銀の小林郁昌広報室長は、上場の時期や規模については言 及を避けたものの「市況をみながら早期上場を目指して準備している」 と述べた。

これまで経営難に陥った国内銀行の再生では、外資系の投資銀行や ファンドが中心的役割を果たす中、足利買収は野村にとって初のケース で国内では過去最大規模の投資だった。欧州債務危機でグローバルな金 融機関が収益を伸ばせない今、野村はプライベートエクイティ投資の回 収などで利益を下支えしていきたい考えだ。

クレディ・スイス証券の山中威人アナリストは、足利HD株の売り 出しについて「リスクアセットを減らすのはバランスシートをマネジメ ントする上で自由度が高まるため意味がある」と指摘。また同時に「キ ャピタルゲインのほか、引き受け手数料やリテールへの販売手数料も得 られるなど、野村の収益にとって助けとなる」との見方を示した。

資本増強も

関係者によれば、足利HDは野村証券をIPOの引き受け主幹事に 起用した。野村は保有する株式のうちどの程度を市場に放出するか現在 検討しており、上場後も一部株式を継続保有する可能性がある。足利は 新株を発行し資本を増強することも検討している。

足利HDが5月11日に発表した決算では、純利益は前年同期比で

7.4%増の172億円。預金は4%増加し、貸出金は5%伸びた。栃木県 を営業基盤に150の支店を持つ同行の従業員は2800人。同県内での融 資シェアは41%。同県の人口は200万人で、本田技研工業、日産自動車 やキャノンなどが工場を稼働している。

足利は日経平均株価や地銀の株価動向次第では、上場を来年以降に する可能性があるという。同銀はこれまでに10年度中をめどとした東 証への株式上場目標を取り下げた経緯がある。

プライベートエクイティ投資

野村は足利に普通株で約610億円出資した。また優先株などで590 億円を投資している。現在のプライベートエクイティ関連投資残高は3 月末で2213億円。4月下旬に発表した12年3月期決算では、連結純利 益が前の期比60%減の116億円となった。一方、同年のプライベートエ クイティ投資関連益は30%増加して251億円だった。

野村は昨年10月に同社が保有する外食大手すかいらーく株を米大 手投資ファンドのベインキャピタル・パートナーズに売却した。譲渡総 額は1280億円だった。同年3月には米カーライル・グループにベアリ ング部品大手のツバキ・ナカシマ株を売却した。

国内IPOマーケット

ブルームバーグ・データによれば、12年の国内のIPO市場規模は これまでのところ327億円と前年同期比ですでに2倍以上に拡大。スマ ートフォンにゲームソフトを提供する多数のSNS関連企業や製造業 が上場準備を進めており、件数では過去5年間で最高となる見通しだ。

野村がグローバル・コーディネーターを務める日本航空(JAL) も1兆円規模に及ぶ公算のある再上場を準備中だ。西武ホールディング スも時期は未定だが、上場に向けて幹事に野村、みずほ証券、JPモル ガン、UBSやメリルリンチの5社を内定した。

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