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水圧破砕の余波-超大型トラックが米国の地方道をわが物顔

天然ガスの掘削業者が米ウェストバ ージニア州ウェッツェル郡で操業を開始したころ、住民のビル・ヒュー ズさんは、石炭よりクリーンなガスの生産ということで歓迎していた。 しかし、掘削に使う資材を運搬する超大型トラックが付近の道をわが物 顔で走り始めると、話が違ってきた。

ヒューズさんは引退した電気工事業者だが、「やつらは急ぎ過ぎて いるんだ」と、2車線しかない田舎の地方道で追い越しをかけられたと きのことを振り返った。道はトラックでぐらぐら揺れた。

岩石層からガスや原油を抽出する水圧破砕には1つの井戸について トラック数百台分の砂、水、機材が必要となる。掘削で地元には雇用や 税収が生まれる半面、36.3トンのトラックが頻繁に行き交うと道路の補 修維持費負担も増える。

道路の損傷の補修費が数千万ドルに達することは、ペンシルベニア 州からテキサス州に至る地方自治体にとっても想定外だった。コーネル 大学のリン・アーウィン准教授(高速道路工学)によると、道路の損傷 を全額補償する対策はないため費用は納税者が負担することになる可能 性があるという。

アーウィン氏はインタビューで「開拓時代の西部のようだ。誰もが 勝手にルールを作っている」と述べた。

テキサス州では4000万ドル

テキサス州運輸局はエネルギー開発が道路に与える影響を調べるた めに専門部署を設置した。同州運輸委員会は北部のバーネット・シェー ル、南部のイーグルフォード・シェール近辺の道路補修費として4000万 ドル(約32億円)を承認した。

ワイオミング州議会は南東部のナイオブララ・シェールの掘削に備 え道路状況の調査に着手した。調査を担当するワイオミング大学のハレ ド・サイバチ教授(土木工学)によると、道路補修費の概算を出し地方 自治体にどの程度予算を振り向けるのかを決めるのが目的という。

ニューヨーク州ではまだ水圧破砕を認可していないが、運輸局が昨 年出した調査報告原案によると、大型トラックの交通に対処するため 「数百マイルにわたる道路と多数の橋の補修が必要」で2億1100万-3 億7800万ドルの費用が掛かる見込み。

マーセラス・シェールの掘削が進んでいるペンシルベニア州、ウェ ストバージニア州でも、道路使用が問題になっている。ペンシルベニア 州立大学ラーソン運輸研究所の道路運営専門家、ティム・ジーグラー氏 は、トラックの運転手が道路の凍結や解凍期のような地元の知識に疎い ことから状況が一層悪化していると指摘する。

ジーグラー氏は電子メールで、「基本的に21世紀の産業と、牛の通 り道を改良した19世紀の農道とのミスマッチになっている」と評した。

原題:Taxpayers Pay as Fracking Trucks Overwhelm Rural Cow Paths (1)(抜粋)

淡路毅 +81-3-3201-2107 tawaji@bloomberg.net

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