フランス新大統領就任-危機に挑む「ムッシュー・ノルマル」

フランスでは15日、フランソワ・オ ランド氏(57)が新大統領に就任した。フランス第5共和制の第7代大 統領、同国の歴史を通じては24代目となる新大統領は、選挙戦の期間中 と変わらず「ムッシュー・ノルマル(普通の人)」であり続けると表明 している。この日の11分間の演説で「権力は威厳と単純さを持って行使 される」と語った。

就任前夜の14日には記者団に、パートナーであるパリ・マッチ誌の 記者、バレリー・トリルベレール氏と今後も家賃3000ユーロ(約30 万8000円)の賃貸アパートに住むつもりだと語っていた。

そんな生活スタイルは、欧州をめぐる政策を共に担っていくドイツ のメルケル首相と相性が良さそうだ。メルケル首相も19世紀に建てられ たアパートに夫と暮らし、自ら食料品の買い物に行く。オランド氏は15 日中にメルケル首相を訪れ、金融危機収束に向けた共闘を早速開始す る。

エリゼ宮での就任式典後の演説で新大統領は「巨額の債務と低成 長、高い失業率、競争力低下」などに直面しているが、「明確な方向性 を持ってフランスの力を結集する」と語った。欧州は「企画と結束、成 長」を必要としているとし、政府の債務を減らす一方で景気刺激ともな る欧州債務危機解決策を提案する方針を表明した。

国際戦略研究所(IISS、本部ロンドン)幹部のフランソワ・エ イスブール氏は「オランド氏はメルケル首相の男性版だ。頑固で思い込 んだら引かないが合意形成のすべも知っている」とし、「最初は平凡だ が、だんだんに能力を開花させることができる」と評している。

周到な準備

オランド氏は3年前に大統領選の準備を始めた。2009年6月27日に 社会党の活動家らを前に、当時のサルコジ大統領を破るため結束が必要 だと呼び掛けた。

フランス史上最長となった選挙戦での500回に近いイベントの間 に、「ノルマル」の愛称がフランスの基本的なプリン「プディング・ノ ルマル(クリームプリン)」から来ていることは忘れられた。国民は 「嵐の中の船長」となることを約束したサルコジ氏よりもオランド氏を 選んだ。パリ政治学院の上級研究員、ジャン・シシュ氏は「数カ月前に は、一部から軟弱ともみられた『中庸の人』のイメージが国民を納得さ せるとは思われなかった」が、サルコジ氏の正反対だったことが変化を 求める国民に買われたのだろうと指摘した。

社会党大統領は1981-1995年のミッテラン元大統領以来。現在の危 機と闘う欧州のリーダーらの中で唯一の社会党出身者だ。中央銀行のよ り積極的な役割や、緊縮ばかりでなく成長促進にも軸足を置くような財 政協定見直しなどを掲げ、サルコジ前大統領の盟友だったメルケル首相 と対立することもありそうだ。

原題:Hollande Vows to Stay Normal as He Confronts Euro Crisis

--取材協力:James Hertling.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE