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JPモルガン、CIO部門の人事刷新-新責任者にゼームズ氏

米銀JPモルガン・チェースは14 日、20億ドル(約1600億円)の損失を出した同社チーフ・インベストメ ント・オフィス(CIO)部門責任者のイナ・ドルー氏が辞職し、後任 には、投資銀行部門の世界責任者であるマット・ゼームズ氏を充てる人 事を発表した。ゼームズ氏は同部門の陣容を刷新するとともに、リスク ヘッジにあらためて重点を置く方針を示した。

ゼームズ氏(41)が同日、社員向け文書で明らかにしたところによ ると、財務およびリスク管理の新たな責任者を指名、ロンドン在勤でト レーディング担当幹部だったアキリーズ・マクリス氏は職を離れる。 CIO前責任者のドルー氏(55)はウォール街で最も高い地位に上り詰 めた女性幹部の1人だったが、同部門が20億ドルの損失を被ったことで 失脚した。

ゼームズ氏は社員向け文書で、「われわれはヘッジ戦略、リスクの 管理・執行に新たに重点を置く」との方針を表明、「JPモルガン・チ ェースは今回の経験を踏まえ、より強い会社として生まれ変わる」と訴 えた。

ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO、56)は10日に今回 の損失を発表。取引には「欠陥があり、複雑な上に再検討や実施、監督 が不十分だった」と指摘した。関係者によると、同行はCIO部門の従 業員がリスクを隠そうとしていなかったかどうかを調査しているが、い まのところそうした証拠は見つかっていない。同部門のロンドン在勤者 は数十人だった。

新人事

調査会社クレジットサイツのアナリスト、デービッド・ヘンドラー 氏は、「責任ある人間が責任を取り、説明責任が果たされているのは良 いことだ」とした上で、ドルー氏は「この戦略について任せられていた にもかかわらず、積み上がりつつあるリスクに気付いていなかったよう だし、それについて経営トップに適切にシグナルを送らなかったとみら れる」と指摘した。

従業員向け文書によれば、ゼームズ氏はCIO部門の欧州・中東・ アフリカ責任者にロブ・オライリー氏を指名。アジア責任者は引き続き クリストファー・チャン氏が務める。同部門の財務責任者にマリー・ヌ ーリエ氏、最高リスク責任者にチェタン・バーギリ氏を起用するとい う。

ドルー氏は、JPモルガンの経営委員会に名を連ねる2人の女性幹 部の1人。CIO部門は預金と融資の差額である約3600億ドルを運用し ていた。ドルー氏は05年に最高投資責任者に指名された。

ダイモンCEOはCIO部門に対し、ストラクチャード・クレジッ トや株式、デリバティブ(金融派生商品)などの高利回り資産を購入し て利益を拡大するよう促していた。同行の元従業員数人が4月に述べた ところによれば、同部門のマクリス氏を中心にリスクテーク姿勢を強め ていったという。

東銀に入行

コロンビア大学国際関係・公共政策大学院で修士号を取得している ドルー氏は、1979年に東京銀行の外国為替・債券トレーダーとして金融 界でのキャリアをスタートさせた。82年にケミカル銀行に転職。ケミカ ル銀行は数回の合併を経てJPモルガンに統合された。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は13日に匿名の関 係者の話を基に、マクリス氏(55)のほか、同氏率いるチームのトレーダ ー、ハビエル・マルティン・アルタホ氏も退社すると報じていた。ゼー ムズ氏の社内文書はアルタホ氏の処遇には触れていない。

ゼームズ氏は2004年にクレディ・スイス・ファースト・ボストン (当時)から移籍。米国債やエージェンシー債、金利スワップ・オプシ ョンの取引などを手掛けた。その後、為替や証券化商品、地方債の責任 者も経験。09年にダニエル・ピント氏とともに投資銀行部門の債券共同 責任者となった。この日の発表によると同事業はピント氏が単独責任者 となる。

ゼームズ、ピント両氏の下でJPモルガンは債券取引で世界1位と なった。ゼームズ氏はかつて、1998年に破綻したロングターム・キャピ タル・マネジメント(LTCM)にも勤めていた。

原題:JPMorgan’s Zames Shakes Up Investment Office as Ina Drew Retires(抜粋)

--取材協力:Christine Harper、Max Abelson.

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