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東電:今期純損失は1000億円の見通し-機構からの交付金寄与

東京電力は14日、今期(2013年3月 期)の連結純損失が1000億円になる見通しと発表した。原子力損害賠償 支援機構から交付される賠償金支払いのための資金986億円を特別利益 として織り込み、アナリストの赤字予想平均値2794億円や特別事業計画 発表時に示した純損失予想2014億円(単体)をいずれも下回る見通しと なった。

前期(12年3月期)の純損益は、原子力発電所の停止に伴う燃料費 の大幅増のほか、賠償費用などで2兆8678億円の特別損失を計上したこ とから7816億円の赤字となった。

同社が公表した資料によると、前期の燃料費は2兆2869億円。西沢 俊夫社長は都内で会見し、今期には燃料費がさらに4600億円増加すると の見通しを示した。この背景には、原子力発電所停止による影響が3000 億円あるほか、入手が可能な液化天然ガス(LNG)が減った結果とし て割高な原油や重油の調達が増えることで1600億円増えると説明した。

東電は6人の社外取締役も発表。JFEホールディングス元社長で NHK経営委員長の数土文夫氏や、三菱ケミカルホールディングス社長 の小林喜光氏、住生活グループ社長の藤森義明氏などを起用する。支援 機構の理事兼事務局長で経済産業省出身の嶋田隆氏は取締役となるほ か、執行役候補にも名を連ねた。11人の取締役のうち7人が社外から登 用される。

西沢氏は、同氏と勝俣恒久会長は退任後に「社友という立場にな る」となると話した。広報担当の川又浩生氏によると、同社の社友は社 長や会長経験者に与えられる名誉称号で無報酬という。社長就任が内定 してる広瀬直己常務は、外部の人材を起用する東電の新体制について 「外からの目線をどう取り入れていくのかが課題で、我々の経営の中に 外からの風を吹き込んでいただきたい」と期待を表明した。

委員会設置会社に不透明感

同社はガバナンスを強化するため、6月27日に予定されている株主 総会で定款を変更して監査役設置会社から委員会設置会社に移行する予 定。広瀬氏は、これまで移行後に監査役設置会社に戻した企業もあると し、「うまくいくかはわからない」と語った。

東電は同時に重複上場に伴う管理コストの軽減や事務の合理化を図 るため、大阪と名古屋両証券取引所で上場している同社株について上場 を廃止すると発表。申請日は15日で、両証取で申請が受理されて整理銘 柄の指定を受けてから約1カ月後に上場廃止になる予定。この発表を受 けて株価は急落、前週末比11.3%安の181円で引けた。

東電と賠償支援機構は9日、同社の再建策を示した総合特別事業計 画を発表。公的資金1兆円の資本注入や家庭向け電力料金の値上げ、金 融機関からの約1兆円の追加融資などで、14年3月期に単体で1067億円 の黒字化を目指す方針を示している。

家庭向け料金の値上げ申請

今後の収支を想定するための前提条件として、柏崎刈羽原子力発電 所の7基ある原子炉を、13年4月から15年9月にかけて順次再開するこ とも計画に盛り込まれた。さらに11日には、停止している原発に代替す る火力発電用燃料の費用が増大しているとし、平均で10.28%の家庭向 け電気料金の値上げを枝野幸男経済産業相に申請した。

東電は、電気料金の値上げや景気回復の影響による販売電力量が増 えることが奏功し、今期の売上高が前期比12.6%増の6兆250億円にな ると見込む。みずほインベスターズ証券のアナリスト河内宏文氏は、電 力料金の値上げや柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が認められなければ、 東電は「賠償の原資を稼ぐことすらできない」と指摘。「実質的には政 府に選択肢はない」とし、政府は収益性改善の柱である値上げと再稼働 を認めざるを得ないとの見方を示した。

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