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JPモルガン損失、銀行リスク管理体制へのFRB検査強化か

米銀JPモルガン・チェースが投資 失敗で20億ドル(約1600億円)の損失を出したことを受けて、銀行のリ スク管理体制に対する米連邦準備制度理事会(FRB)の検査強化を求 める動きが広がる可能性がある。

事情に詳しい関係者によると、FRB当局者はJPモルガンの今回 の取引ポジションに関して多くの情報を収集中。同当局者らはこのポジ ションを数週間前に把握していたという。同関係者によれば、FRBは 個々の取引の承認や拒否でなく、損失に耐え得る十分な資本を各行に備 えさせることが自らの役割だと考えている。同関係者は、この問題につ いて話す権限はないとして匿名を条件に語った。

JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO) は10日、取引損失を発表。「多くの誤りと怠慢、不適切な判断が重なっ た」と述べた。アナリストとの電話会議では、監督当局には常に最新の 状況を報告してきたが、「重要情報を持ち合わせていたわけではない」 と釈明した。

元アトランタ連銀調査局長で現在カンバーランド・アドバイザーズ (フロリダ州)の金融担当チーフエコノミストを務めるロバート・アイ ゼンバイス氏は、「ダイモンCEO自らがこうした発言をするというこ とは、誰がこの銀行を統括しているのかという多くの疑問を抱かせる」 と指摘。FRBは「JPモルガンの内部統制について調査し、同行が取 っている監視手続きや健全性度合いを調査すべきだ」と述べた。

資産規模で米銀最大手のJPモルガンはFRBによるストレステス ト(健全性審査)に合格。ダイモンCEOが損失を公表したのは、その 2カ月後だった。

少額の損失

1980年代に米連邦預金保険公社(FDIC)総裁を務め、現在は FTIコンサルティングのシニアマネジングディレクターであるウィリ アム・アイザック氏は、「この規模の銀行としては比較的少ない損失 だ」とした上で、「人々を混乱させているのは、JPモルガンが世界最 強・最良の銀行の一つと世間で見なされていることだ」と語った。

JPモルガンの監督機関であるニューヨーク連銀のクリシュナ・グ ハ報道官と、JPモルガン広報のジョゼフ・エバンジェリスティ氏はコ メントを控えた。

SEC調査

事情に詳しい関係者が匿名で明らかにしたところによれば、米商品 先物取引委員会(CFTC)はJPモルガンのデリバティブ(金融派生 商品)取引を先月から調査している。同行に対して法に基づく強制措置 は発動していないという。

別の関係者によると、米証券取引委員会(SEC)は問題の取引に 関するJPモルガンの情報開示について、予備的な調査を開始した。

ダイモンCEOは13日放送のNBC番組「ミート・ザ・プレス」 で、JPモルガンが法律や会計規則に違反したとは思っていないと発言 した。

ニューヨーク連銀上級副総裁を務めたディノ・コス氏は、FRBの 当局者はJPモルガンのリスク管理手順と企業統治に関してFRBが独 自に分析・検証する必要があると指摘。FRB監督者は、リスク情報の 収集・報告の手法と、そうした情報が幹部レベルに上げられた際の対応 などを質問すべきだと述べた。

コス氏は「取締役会はどういった情報を得ているのか。CEOとリ スク委員会の幹部にはどのような情報が供与されているのか」と疑問を 投げ掛けた。また、「仮にダイモンCEOが自行の取っているリスクを 把握していたら、その判断についても疑問がある」と指摘した。同氏は 現在、経済調査・コンサルティング会社ハミルトニアン・アソシエーツ のマネジングディレクターを務めている。

原題:JPMorgan’s Trading Loss May Call for More Fed Scrutiny (1) (抜粋)

--取材協力:Silla Brush、Jesse Hamilton、Jeff Kearns、Sandrine Rastello.

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