スペインはアイルランドの二の舞か-銀行損失見積もり不十分

スペイン政府は同国の銀行から生じ 得る損失を過小評価している。住宅ローンの債権劣化のコストを無視 し、アイルランドのようにならないことを期待している。アイルランド は銀行への支援負担があだとなり、海外からの救済に追い込まれた。

スペイン政府は銀行に不良債権引当金を540億ユーロ(約5兆5700 億円)積み増し、1660億ユーロにすることを求めた。スペイン銀行(中 央銀行)はこれが、不動産開発業者と建設会社向けの融資のほぼ半分の 焦げ付きをカバーすると見積もっている。

銀行はほかに1兆4000億ユーロ余りの住宅ローンと企業向け融資の 債権を抱えているが、これらのデフォルト(債務不履行)に対する引当 金はないことになる。

これらの債権を含めた場合、スペインの銀行は最大で政府が求めた 額の5倍、つまり2700億ユーロの引当金積み増しが必要となると、ブリ ュッセルを拠点とする研究機関、欧州政策研究機構(CEPS)は概算 している。これだけの資金不足を政府が埋めようとすれば公的債務はほ ぼ50%増え、救済を求めざるを得ない可能性もある。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダのロンドン支店でスペインの銀行 を担当するアナリストのパトリック・リー氏は「経済のあらゆる部分で 不良債権がどんどん増えている時に1種類の不動産ローンのことだけを 心配しても仕方がない」として、「アイルランドは銀行損失をはるかに 積極的に計上し、その結果、救済が必要になった。スペインについても 外部からの支援なし銀行問題を解決できるとは思えない」と話した。

スペイン政府は9日に、同国3位の銀行バンキアを公的管理下に置 いた。45億ユーロ相当の優先株を普通株に転換することで45%を保有し た。金融システムに150億ユーロを注入した前政権と異なり、ラホイ首 相は公的資金注入には抵抗を示している。ただ、7日には姿勢を緩和さ せその可能性を排除しないと語った。

大口債権者

アイルランドは銀行に630億ユーロを注入し、欧州連合(EU)と 国際通貨基金(IMF)から680億ユーロの救済支援を受けた。

スペインもアイルランドも、単純に銀行をつぶすことはできない。 アイルランドが銀行の債権者に損失を負わせようとした際、EUは域内 の銀行全体に影響が及ぶリスクを理由にこれを禁じた。

ヘッジファンド、マディソン・ストリート・パートナーズのポート フォリオストラテジスト、マーシャル・アウアバック氏によれば、これ はEUがアイルランドの銀行の大口債権者だったドイツとフランスの銀 行を保護したものだ。同氏は「スペインは次のアイルランドになる」と して、ドイツが再び「銀行損失の国有化」を迫り、「ソブリンリスクを 作り出す」だろうと指摘した。

原題:Spain Underplaying Bank Losses Faces Fate Ireland Couldn’t Avoid(抜粋)

--取材協力:Charles Penty、Emma Ross-Thomas、Sharon Smyth、Joe Brennan、Christine Harper.

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