トヨタ:今期営業益5年ぶり1兆円へ-円高で利益率回復は競合に遅れ

自動車メーカー国内最大のトヨタ自 動車は、自動車販売の回復を受けて今期(2013年3月期)営業利益が 1兆円との見通しを示した。国内生産比率が高いトヨタは今期中、現 水準の円高が続くとみており、リーマンショック前の営業最高益の時 と比べ、利益率の回復は日産自動車やホンダに遅れを取っている。

トヨタの9日の発表資料によると、今期の営業利益は前期比2.8倍 の1兆円としたほか、純利益は同2.7倍の7600億円、売上高は同18% 増の22兆円と予想した。前期(12年3月期)の東日本大震災やタイ 洪水の影響がなくなるほか、新型車投入の効果もあり、すべての主要 地域で自動車販売が増加して業績拡大に寄与する。

ダイハツ工業と日野自動車を含む今期のグループ世界販売は前期 比18%増の870万台を計画。このうち、国内は同6.2%増の220万台、 北米が26%増の235万台、欧州は7.8%増の86万台、アジアが34% 増の178万台などとしている。

クレディ・スイス証券の塩原邦彦アナリストは、トヨタの今期業 績予想について「全体的な印象はポジティブ」と電話インタビューに 英語で話した。870万台の販売目標については、クレディ・スイスの 事前予想を15万台上回るもので、「非常に高い数字であることは間違 いない」と評価した。

トヨタは今期、販売の順調な伸びを見込む一方、円高水準につい ては対ドル80円(前期79円)、対ユーロ105円(同109円)と依然と して厳しい見通しを示した。主要な競合メーカーと比べて国内生産比 率が高いため、収益の足かせとなる可能性がある。

東京本社で会見した小澤哲副社長は、輸出の増加などに伴って為 替感応度が前期の1ドル=320億円からさらに上昇し、330億円から 350億円の間ぐらいになるとの見通しを示した。

トヨタは08年3月期に営業利益2兆2704億円と過去最高を記録 したが、金融危機後の消費低迷のあおりを受け翌期は営業赤字に転落。 その後も利益水準は低迷した。1兆円の大台を回復すれば5年ぶりと なるが、利益率の回復ではライバルの日産自やホンダに遅れを取って いる。

営業利益率を比較すると、トヨタは08年3月期に8.6%で、日産 自やホンダを上回っていた。しかし、前期の1.9%、今期予想の4.5% はいずれもホンダのそれを下回る。11日に決算発表予定の日産自は前 期予想の営業利益率が5.4%だった。

トヨタの豊田章男社長は東京本社で会見し、国内生産について「日 本のものづくりを守っていく気持ちに変わりはない」と強調し、もの づくりの現場力を維持し、成長させていくには国内300万台程度の生 産規模が必要との考えをあらためて示した。小澤副社長は「円高にな ってほしくないと思っている」と述べ、「為替に対しては政府・日銀に 対してしっかりした対応をとってほしいと常に思っている」と語った。

富国生命投資顧問の桜井祐記社長は、国内生産維持にこだわるト ヨタの姿勢について「今の日本の状況を考えると、世界で競争してい くためには海外生産により拍車をかけなければいけない」と指摘。ト ヨタの取り組みは「ホンダや日産自に対して、周回遅れで進んでいる と理解している」との認識を示し、国内生産を守るという看板は下ろ す時期にきているのではないかと話した。

トヨタの株価は9日終値で、前日と変わらずの3145円。年初来で は23%の上昇となっている。

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