「わが子を盗まれたような思い」-米で死者の情報利用し詐欺

米イリノイ州レークフォレスト在住 のベニー・ワッターズ君(5)は2010年9月、脳腫瘍で亡くなった。そ の10カ月後、両親が納税申告の際にベニー君を扶養家族として申請しよ うとした際、何者かがベニー君の死亡に関する米政府のデータを申告書 に不正に記載し、既に申請が済まされていることが分かった。

「誰かが私たちからあの子を盗んでいったようなものだ」と母親の リサさんは嘆く。そして、インターネット上で息子の社会保障番号を選 び出すのに必要なデータをいかに素早く見つけることができたかを語っ た。「とても簡単で、何のためにこのような情報が提供されているのか 分からない」と話す。

社会保障番号に関連する詐欺の被害者と協力し取り組みを進めてい る米議員らは、死者の社会保障番号リストへのアクセスの制限または禁 止を目指している。最も厳しい制限案に対しては、信用調査機関や年金 基金、生命保険会社が抵抗姿勢を示している。これらの機関は詐欺や給 付金の不正受給を防ぐためにこのデータを利用している。米下院小委員 会では8日、この問題について公聴会が開かれる予定だ。

IRSの対策

米内国歳入庁(IRS)は正確さの確保や詐欺防止と、納税者の申 告や還付の手続きの迅速な処理とのバランスを取る必要がある。リスト へのアクセスを制限する法案を支持する民主党のネルソン上院議員(フ ロリダ州)によると、IRSがいったんデビットカードに還付金を振り 込むと、米政府の資金を取り返すすべはない。

ネルソン議員はインタビューで「追跡は非常に困難だ。社会保障番 号が公表されているという事実が非常に大きな問題だ」と指摘する。

IRSによると、身元情報を利用した税金関連の詐欺の被害者 は2008年以降、46万人以上に上っている。IRSは死亡した納税者の最 後の納税申告を停止し、関係者以外が社会保障番号を利用できないよう にすることを目指している。この理由で納税申告が停止された件数は今 年に入って3月半ばまでに6万6000件となっている。

死者の社会保障番号のリストは、米社会保障庁が情報公開法に基づ く訴訟で和解した1980年以降、公開されている。同庁がリストを作成し 政府は個別の申請に対応するのではなく、リストの販売を開始。リスト の情報はこのほか、家系図関連のウェブサイトなどで見つけることがで きる。

原題:Tax Cheats Scour U.S. Public List to Steal Dead Kids’ Identities(抜粋)

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