ユーロが対円で2月以来の安値-欧州の財政規律に不透明感

東京外国為替市場ではユーロが下 落。一時は対ドルで1月以来、対円では2月以来の安値を更新した。フ ランス大統領選やギリシャの総選挙を受けて、ユーロ圏の債務問題をめ ぐる先行き懸念が再び生じており、ユーロ売り圧力が強まった。

ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.2955ドルと、1月25日以来の 水準までユーロ安が進行。午後の取引にかけて1.30ドルちょうど近辺ま で値を戻したが、上値は限定的となった。ユーロ・円相場は一時1ユー ロ=103円24銭と、2月16日以来のユーロ安値を付けたあと、103円台後 半で取引された。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、仏大統領 選の結果は事前にだいたい予想されていたので、さほどサプライズでは ないが、ギリシャ総選挙の影響は大きいと指摘。欧州時間にギリシャの 二大与党がぎりぎり過半数を獲得できそうだということになれば、ユー ロ売りが一巡する可能性もあるが、難航した場合は、財政再建が頓挫す るとの懸念が生じ、国際支援の獲得が危惧されて、「どうしてもユーロ の下値を試す展開になる」とみている。

一方、ドル・円相場は朝方の取引で円買いが優勢となり、一時1ド ル=79円65銭と、4営業日ぶりの円高値を付けた。その後は79円98銭ま で円が押し戻され、午後の取引にかけて79円台後半を中心に推移。午後 4時1分現在は79円83銭付近で取引されている。

欧州財政規律に不透明感

6日に投開票されたフランスの大統領選では、社会党のオランド前 第1書記が、現職のサルコジ大統領に勝利。オランド氏は、ドイツのメ ルケル首相が債務削減に向けて推進してきた欧州連合(EU)財政協定 の再交渉を求めている。

また、同日にはギリシャで総選挙が実施されたが、暫定集計による と、二大与党の新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動 (PASOK)の得票数は、300議席中の過半数に達していない。一方 で、救済合意に反対する政党が躍進しており、同国がユーロ圏にとどま るのに必要な財政緊縮を実行できるかどうかが不透明な情勢となってい る。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が複数の当局者の 発言を匿名で伝えたところによると、EUと国際通貨基金(IMF)は ギリシャに対し、緊縮プログラムを忠実に実行する必要があると警告し ている。6日のギリシャ総選挙後に誕生する新政権に救済条件の再交渉 の余地がほとんどないことを示唆すると同紙は指摘している。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、仏大統領選に勝利したオランド氏に関して、「新財政協 定の再交渉ということを言っており、実際にそこに踏み込んでしまうと この夏にかけて相当騒がしくなる」と指摘。また、ギリシャの総選挙に ついては「早い話が財政再建をしたくない政権になり替わるわけで、こ れをもってIMFやEUがどういったアラームを鳴らす局面が来るの か」が注目になるとしている。

米雇用統計不振

一方、前週末4日には米国で4月の雇用統計が発表されたが、非農 業部門の雇用者数は前月比で11万5000人の増加と、6カ月ぶりの低い伸 びとなった。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の中央値16 万人増も大きく下回った。

雇用統計の結果を受けて、米株式相場は3営業日続落。S&P500 種株価指数の週間ベースでの下げは今年に入って最大となった。また、 米債券相場は上昇し、10年債の利回りは1.87%と、2月3日以来の水準 に落ち込んだ。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、米雇用統計が悪 く、欧州の情勢も不安定となると、「ドルもユーロも買えず、円を買わ ざるを得ない状況になる可能性がある」と指摘。どこまで円の上値を試 せるかが注目されるが、「そろそろ介入のうわさや口先介入も出てく る」と言う。

安住淳財務相は7日午後、財務省内で記者団に対し、欧州の政治情 勢を受けて、「選挙結果は国民の選択。いかなる結果になろうとも、そ の国の判断だ」と述べる一方、足元の株安や円高について、こうした政 治情勢が不安定要因になっていると指摘。その上で、政治的要因に乗じ て円高を仕掛ける投機的な動きがあるか十分監視をしなければならない とし、必要によっては臨機応変にすぐにでも対応できるように注視して いきたいと述べた。

フランスとギリシャの情勢を受けて、欧州債務危機への懸念から、 米株価先物指数は下落。東京株式相場も日経平均株価が200円を超える 大幅安で取引を終えた。

--取材協力:小宮弘子、石川茉莉子 Editors: 青木 勝, 山中英典

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