ソニーは、定額制の楽曲配信サー ビスを年内に日本に上陸させる。市場ではライバルの米アップルの「i Tunes(アイチューンズ)」に対抗できるかが、4月に就任した平 井一夫社長が掲げるソニー再生の試金石になるとの見方が出ている。

新サービス「ミュージックアンリミテッド」は、2010年に英国や アイルランドなどで「キュリオシティ」の名称で開始し、現在は16カ 国で展開。品ぞろえは約1500万曲に上る。1曲ごとに課金されるアイ チューンズに対し、定額による聴き放題を売り物としている。

ソニーは傘下にレコード会社ソニー・ミュージックエンタテインメ ントを持ち、マイケル・ジャクソンやホイットニー・ヒューストンと いった大物アーティストの著作権を保有。本業のエレクトロニクスが赤 字に悩む中、音楽事業は昨年10-12月期で首位の金融事業に次ぐ153 億円の営業利益を稼いだ。

平井氏は12日の経営方針発表で、ソニーの強みは製品だけでなく 楽曲や映画などのコンテンツ(情報の内容)を持つ点にあると強調し、 グループが一体となった「One Sony」をスローガンに掲げた。

ゴールドマン・サックス証券の渡辺崇アナリストは「音楽コンテン ツはソニー再生の切り札になり得る」と語る。さらに、携帯音楽プレー ヤーの元祖であるウォークマンを大ヒットさせたソニーが、新たな配信 手法でコンテンツ資産を有効活用することへの期待感を示す。

活用法が不明確との指摘も

渡辺氏はしかし、ソニー内部では部門間の壁が依然高く、コンテン ツ配信事業の展開も遅れているようだと述べている。JPモルガン証券 の和泉美治アナリストも、ソニーがコンテンツ資産を自社製品でどう活 用するかは、12日の発表会でも「抽象的な説明に終わった」とコメン トし、具体例を示す必要性を指摘している。

平井氏は昨年、ソニーエンタテインメントネットワーク(SEN) と銘打ち、利用者が単一のIDで映像、音楽など同社のソフト関連サー ビスを使えるようシステムを統合する方針を表明。しかし現状では、電 子書籍を読むには別のIDが必要になるなどの課題がある。

ソニーの広報担当の江藤夏紀氏はずれ込みの理由を「ソニーにはさ まざまな製品があるため技術的な難しさもある」として、統合は今後、 段階的に進めると説明している。

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