欧州銀を待つ75兆円の借り換え、ECBが頼みの綱という危険

欧州の銀行は1兆3000億ドル (約105兆8000億円)もの資金供給を中央銀行から受け、緊急支援への 依存がかつてなく高まっているが、債務危機がスペインとイタリアをの み込むのを政策担当者が食い止めるにはさらなる資金注入が必要になる かもしれない。

1-3月(第1四半期)に30件余りの起債が行われた後、今月は銀 行による無担保債の発行はなく、銀行債の保証コストも1月以来の高水 準に上昇。欧州中央銀行(ECB)が昨年12月に期間3年の長期リファ イナンシングオペ(公開市場操作、LTRO)の実施を決定した後20% 上昇していた金融株も逆に2%下げている。

一部の金融機関がECB資金を利用してソブリン債の保有を増や し、各国政府が財政赤字の抑制に苦しむ中で、投資家は尻込みしてい る。銀行がECBにオペの担保を差し入れているため、デフォルト(債 務不履行)の際に無担保債の保有者が回収できる資金の額は減少してい る。モルガン・スタンレーによれば、金融機関は2013年末までに7000億 ユーロ(約75兆2000億円)相当の借り換えが必要と試算されるが、その ような状況が資金調達コストの上昇を招いている。

英政府や銀行が出資する研究グループ、インターナショナル・セン ター・フォー・フィナンシャル・レギュレーションのバーバラ・リドパ ス最高経営責任者(CEO)は「ECBの一段の介入が非常に強く求め られる状況だ。多くの銀行は償還期限を迎える債務の借り換えを債券市 場で行うことがとてもできない」と指摘する。

債券市場で借り換え不能

ECBの資金供給に対する担保の差し入れを求められることで、銀 行の債券市場からの調達コストは既に上昇している。KBWのアナリス ト、アンドルー・スティンプソン氏は、資産を担保とするカバードボン ドの発行増や債務再編で投資家に損失負担を求めるルールが検討されて いることも無担保優先債の魅力をそぐとの見方を示す。

ブルームバーグのデータによれば、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘン タリア銀行(BBVA)は2月に18カ月物の優先債を発行したが、指標 のスワップ金利を1.93ポイント上回る利回りの提供を求められた。07年 5月の10年債発行の際にはスプレッドは0.45ポイントにとどまってい た。

レバレッジ解消先送りも

米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO) の欧州クレジット調査責任者、フィリップ・ボデロー氏はLTROにつ いて、「主な恩恵は欧州の銀行の借り換えの危機を回避することだった が、スペイン、イタリアとその国債市場のシステム全体を脅かしかねな い危険性が問題となっており、それをいかに安定させるかが注目点だ」 と話す。

また、バンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロン傘下の投資運 用会社スタンディッシュのストラテジスト、トーマス・ヒギンズ氏は 「欧州周辺国の銀行がさらにソブリン債を購入し、必要なバランスシー トのレバレッジ解消を先送りするよう促すことで、LTROが欧州の問 題を悪化させているかもしれない」と分析。「スペインとイタリアの国 債スプレッドが拡大を続け、ソブリン債の価値が低下するのに伴い、銀 行のバランスシートが危険な状態に陥るというシナリオは想像に難くな い」と警告している。

原題:Rising Italy-to-Spain Yields Keeping Banks on ECB’s Life Support(抜粋)

--取材協力:Hannah Benjamin、Yalman Onaran、Sandrine Rastello.

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