【FRBウオッチ】「QEバブル」崩壊シナリオ、2013年が山場か

今年の米経済は好調なスタートを切 った後、昨年と同様、後半にかけて減速する兆候が表れてきた。3月の 雇用者数は12万人の増加と、その前3カ月にわたる月間20万人を超す伸 びから半減。消費者信頼感指数も低下に転じている。ニューヨーク株式 市場も、雇用の伸び減速や消費者マインド指数とほぼ同時に不安定な領 域に入ってきた。

2009年3月を基点とするニューヨーク株式の上げ相場は、既に3つ の上昇波動を形成している。第一波は連邦準備制度が大規模な資産購 入、いわゆる量的緩和第1弾(QE1)を導入した時期と一致。第2波 はQE2と重なる。そして第3波は短期国債を売却し、長期国債を同額 購入するオペレーション・ツイスト(ツイストオペ)と超低金利政策の 時間軸明示と一致する。

マーケットでは、連邦準備制度による大規模資産購入を量的緩和 (Quantitative Easing)とみて、その頭文字をとってQEと呼んでい る。ツイストオペは長期債を購入する一方で、短期債を売却して市場に 供給する資金量に変化がないため、マーケットではQE3とは呼んでい ない。

もっとも、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は自ら の政策を「量的緩和」とは認めていない。バーナンキ議長の真意を汲ん で、QEを「非伝統的な緩和政策」と意訳すると、金融政策を決める連 邦公開市場委員会(FOMC)の動きをより良く理解できる。

つまり、昨年9月のFOMCで導入したツイストオペと超低金利政 策の時間軸明示は、非伝統的な緩和政策の第3弾(QE3)と言える。 この意訳に基づけば、QE3は昨年9月に導入され、株価を押し上げる 力もそろそろ限界に近づいてきたということになる。

追加緩和への余地

バーナンキ議長を中心とするFOMCの主流派は景気に対して慎重 な見方をとってきており、雇用統計の下振れで警戒感をさらに強めてい る。一方でインフレ警戒に傾くタカ派や、より十分な統計による裏付け を重視する中間派を説得するにはなおデータが乏しく、24、25両日の FOMC会合では追加緩和の決定は見送られる可能性が高い。ただし、 バーナンキ議長は会合後の記者会見で、恐らく追加緩和への余地を残し ておくとみられる。

そして、6月19、20両日に開かれるその次のFOMC会合までには 4、5月の雇用統計も発表され、景気の変調が続けば、株価は本格的な 調整に向かうことになる。そうなれば、バーナンキ議長が追加緩和に動 くのはまず間違いないだろう。問題は、金融政策だけでいつまでも米国 の経済成長を維持できないということだ。

QE1相場による株価上昇局面は13カ月間。QE2相場は10カ月と 徐々に短くなってきた。QE1相場は2010年4月23日、QE2相場 は2011年4月29日と、いずれも4月にピークをつけている。今回も4月 にピークをつけると仮定すると、上昇期間は7カ月に短縮される。

FRB100周年にバブル崩壊も

いずれにせよ、バーナンキ議長が将来、非伝統的な大規模緩和第4 弾を導入したとしても、米経済が構造劣化を引き起こしているため、株 価の反発力がさらに弱まることは避けられまい。そして、QEバブルは 早ければ年内にも収縮に向かうリスクがある。今年はなお持ちこたえた としても、2013年になれば、その崩壊リスクは一段と高まるだろう。

住宅・金融バブルが主導した株価上昇は2002年10月から5年間続い ていた。このシナリオをQEバブルに当てはめれば、2013年で株価上昇 は5年目を迎える。そして、遅くともFOMCが「異例の低金利の時間 軸の終点」とする2014年までにはバブル崩壊は避けられないだろう。 2014年は奇しくもFRB創設100周年に当たる。

2007年にかけての株高局面では失業率は4.4%まで低下、実体経済 も現在に比べればなお強靭(きょうじん)さを保っていた。今回の景気 拡大局面では8%を上回る高い失業率が続いており、実体経済は脆弱に なっている。

米経済の日本化

そこで、連邦準備制度が資産を買い込んで自らバブル化すること で、株価を押し上げてきたが、そろそろ限界が見えてきた。株高の滞空 期間は前回の2000年代の株高局面には及ばないだろう。

いずれにせよ、FRBバブルがはじければ、米国経済は急激に収縮 する。FOMCは異例の低金利の時間軸を2014年終盤までとっている が、さらに先に延ばされることになるだろう。FRB当局者は米経済の 日本化はないと語っているが、少なくとも表面的には同様の軌跡を描き つつある。

(FRBウオッチの内容は記者個人の見解です)

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