IMF:世界経済成長見通し上方修正、米国がけん引-改善弱い

国際通貨基金(IMF)は17日、米 経済の見通しが改善した指摘し、世界経済の成長予想を約1年ぶりに上 方修正した。ただ「最近の改善は非常に脆弱(ぜいじゃく)」だとして いる。

IMFはこの日発表した世界経済見通し(WEO)の中で、今年の 世界の経済成長見通しを3.5%、来年については4.1%と予想した。1月 時点ではそれぞれ3.3%、4.0%と予想しており、今回はともに上方修正 された。米国についても今年の成長率を1.8%から2.1%に、来年 は2.2%から2.4%にそれぞれ予想を引き上げた。

ユーロ圏については、なお景気の下降局面に直面しており、一国が デフォルト(債務不履行)に陥る潜在的リスクを「測ることは難しい」 としながらも、状況は昨年よりも安定してきているとした。今年のユー ロ圏経済は0.3%のマイナス成長が予想されているが、前回予想のマイ ナス0.5%からは上向きの修正となった。このほかでは今年の中国の成 長率を8.2%、日本は2%と予想した。

IMFのチーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏はこの 日、ワシントンでの記者説明で「過去半年の世界経済は、ジェットコー スターという表現がぴったりな情勢だった」と指摘。市場を安心させよ うと欧州各国の政府が措置を講じた後も、「不安定な状態は続いてい る。今すぐにでも状況は再び著しく悪化し得るという雰囲気がある」と 加えた。

IMFが前回、世界の成長見通しを上方修正したのは2011年1月。 同年の成長見通しを4.2%から4.4%に引き上げた。

米経済の成長率見通しは、市場予想は下回った。ブルームバーグ・ ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は、今年が2.3%、来年 は2.5%だった。

「差し迫った懸念」

IMFは見通しの中で、「昨年7-12月期に米経済で改善が見ら れ、ユーロ圏では経済危機対応でより良い政策が講じられた結果、世界 経済が急減速する脅威は軽減された」と指摘。主要先進国では鈍い成長 が再開される可能性が高く、新興諸国では相対的に着実な経済活動が続 くと予想した。その上で、最近の改善は非常に脆弱だと付け加えた。

一方、IMFは「最も差し迫った懸念は、ユーロ圏の危機がさらに エスカレートし、広範なリスク回避の動きの引き金を引くこと」だと指 摘。また、地政学的な不透明感が石油価格の大幅な上昇を招く恐れもあ るとした。石油価格が50%上昇すると世界の生産は1.25%減少すると IMFは試算している。

「信用フロー促進を」

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が今週ワシントン で開かれるが、IMFは欧州当局者らに対し「銀行システムの無秩序で 破壊的なレバレッジ解消の動きを回避し、民間部門への適切な信用フロ ーを促進」するよう求めている。

米国、ユーロ圏、日本、英国など先進国の成長率は今年1.4%、来 年は2%と見込まれている。1月時点ではそれぞれ1.2%、1.9%だっ た。新興国・途上国については今年5.7%、来年6%と予想、1月時点 の5.5%、5.9%から上方修正した。

こうした中でスペインについてはマイナス1.8%成長を予想。1月 時点のマイナス1.6%成長から下方修正した。同国の国債利回りはラホ イ政権の発足後の4カ月間での最高水準に上昇。ラホイ首相は16日、資 金調達を継続できるよう財政赤字を削減しなければならないと述べた。

一方、世界2位の経済規模の中国についてIMFは、昨年半ばから 成長が緩やかになったとし、「ハードランディング懸念が広まっている が、今のところ過熱懸念のある不動産市場などで急激な調整局面を迎え る兆候はほとんど見られない」と指摘。中国の成長率は今年8.2%とな った後、来年は8.8%を予想している。

原題:IMF Raises Global Forecast for First Time Since Early 2011 (1)(抜粋)

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