英国債:今年のスタートは96年以来最悪-政府の緊縮策が裏目

キャメロン英首相が進めてきた財政 緊縮策は、昨年の英国債による他国債を上回るパフォーマンスに貢献し た。しかし今や英経済はリセッション(景気後退)の瀬戸際にあり、借 り入れニーズが過去最高水準に接近するなど、この緊縮策が裏目に出て いる。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によれば、 英国債のリターン(投資収益率)は1-3月(第1四半期)にマイナ ス1.92%と、1996年以来最低の出足となった。昨年のリターンはプラ ス17%。歳入の落ち込みに伴い、英政府の今後1年の国債発行額は過 去10年の平均を64%上回る見通しだ。

キャメロン首相は、大恐慌以来最悪の金融危機からの回復は財政赤 字削減と最上位格付けの維持にかかっていると訴えて約2年前に政権を 握ったが、同氏率いる与党・保守党は世論調査で野党・労働党にリード を許している。第2次世界大戦後で最大の歳出削減が実施される中、英 国内総生産(GDP)は2四半期連続の縮小が見込まれており、政府は 所得税の最高税率を引き下げる計画を打ち出した。こうした中、トレー ダーは英国債を敬遠している。

ヤルデニ・リサーチの社長でチーフ投資ストラテジストのエド・ヤ ルデニ氏は11日の電話インタビューで、「債券市場は景気が弱い時に好 調だが、景気の弱さが巨額で持続不可能な債務を抱えていることが原因 の場合はそうならない」と指摘した。

利回り上昇

昨年はギリシャ債務危機が深刻化する中で英国債相場が上昇。成長 を回復させ、借り入れコストを低く抑え、最高格付けの維持を目指すキ ャメロン首相の政策が市場で好感されていた。ただ、英経済が苦戦して ドイツや米国に後れを取る現在、英国債利回りは上昇している。

ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS)が まとめた指数によると、英国債の年初来リターンはマイナス0.8%。こ れに対しドイツ国債はプラス0.8%、米国債はマイナス0.1%となってい る。

先週の英国債は、10年債利回りが12ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)低下して2.04%となった。ブルームバーグ調査によると、 少なくとも10人のアナリストの加重平均予想では年内に2.55%への上昇 が見込まれ、来年6月までには2.75%に達するとみられている。1月18 日には過去最低の1.917%を付けていた。過去10年の平均は4.19%。

メリルリンチ・ウェルス・マネジメントのストラテジスト、ヨハネ ス・ヨースト氏(ロンドン在勤)は「経済が脆弱(ぜいじゃく)なまま で債券利回りが上昇すれば、困難な状況に陥りかねない」と話す。同社 は英国債をアンダーウエートとしており、これは資産に占める英国債の 割合をベンチマークが推奨するウエートより低くしていることを意味す る。

原題:Gilts Voting Down Cameron in Worst Start Since 1996 as Cuts Bite(抜粋)

--取材協力:Gonzalo Vina、Eddie Buckle.

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