ユーロが対円で約1カ月ぶり安値、欧州債務懸念が再燃

東京外国為替市場では、ユーロが対 円で1ユーロ=107円台半ばを中心に、上値の重い展開が継続した。欧 州債市場ではスペインやイタリアなど高債務国の国債売り圧力が強まっ ており、域内の債務懸念が再燃。ユーロの先安警戒感がくすぶった。

ユーロ・円相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=106円89銭と、 3月8日以来の水準までユーロ安・円高が進行。東京市場では朝方に付 けた107円66銭を上値に、午前には107円30銭まで水準を切り下げた。午 後は欧米を中心としたイースター休暇で市場参加者が限られる中、午前 に形成されたレンジ内で小幅な値動きにとどまった。午後4時8分現在 は107円58銭付近で取引されている。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、市場の雰囲気として は、スペインなど高債務国の利回り上昇を見ながら、「欧州債務危機の 再燃を警戒するようなセンチメントが強い」と指摘。ただ、イースター 休暇で非常に参加者が少ない中、ここ数日間でユーロが一方向に下落し ているため、「調整的な買いも入りやすい」といい、ユーロが下げ渋る 面もあったという。

海外市場で一時1ユーロ=1.3035ドルと、3月15日以来の安値を付 けたユーロ・ドル相場は、東京市場では午前に1.3054ドルを付けたあと に下げ渋り、午後には1.3078ドルまで値を戻す場面も見られた。

一方、ドル・円相場は朝方に付けた1ドル=82円40銭から、午前 に82円16銭まで円高が進んだあと、午後にかけて82円台前半で小動き。 午後4時8分現在は82円32銭付近で取引されており、日中の値幅は24銭 にとどまった。

欧州債務への懸念再燃

国際通貨基金(IMF)のライス報道官は5日、ワシントンで記者 団に対し、「スペインが抱えている課題は深刻だ」とした上で、「市場 センチメントは不安定な状態が続いている。改革の継続が求められてい る」と述べた。

FXプライムの上田眞理人専務取締役は、欧州の債務問題に関して は、「ギリシャが解決したと思いこんでいる節がある」とし、そうなる と次に目が行くのはポルトガルとかスペイン、そしてイタリアなどの債 務国だと指摘。その中で域内の景況感が悪くなって、日米との格差も意 識されやすく、「ユーロを買う理由が全くない」としている。

5日の欧州債市場では、高債務国の国債が下落。スペイン国債は3 営業日連続で値下がりし、10年債利回りの対独スプレッドは一時410ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%ポイント)と、昨年11月30日以 来の水準に拡大した。

ユニオン・バンクの白井万雄トレーダー(ロサンゼルス在勤)は、 欧州ではドイツとその他の国の国債利回りスプレッドが広がり続けてい るとし、「やはりどうしても他の国がまた心配になってきているという 形になっている」と指摘する。

日米の金融政策格差

この日の米国時間には、3月の雇用統計が発表される。ブルームバ ーグ・ニュースがまとめた市場予想では、非農業部門の雇用者数は前月 比で20万5000人の増加が見込まれている。前月は22万7000人増だった。 また、失業率は8.3%が予想されている。

ユニオン・バンクの白井氏は、先日発表された連邦公開市場委員会 (FOMC)議事録を受けて、追加の量的緩和は今のところ必要ないと いったムードが醸成される中、米国で強い数字が出てくれば、追加緩和 の可能性が遠のいて、「ドル買いの方に動く」と予想している。

一方、来週には日本銀行が9日から2日間の予定で金融政策決定会 合を開く。ブルームバーグが有力日銀ウオッチャー13人を対象に行った 予想調査では12人が現状維持を予想している。

ソシエテ・ジェネラル東京支店のチーフエコノミスト、大久保琢史 氏は、来週の日銀会合では、政策の現状維持が見込まれているものの、 「緩和せざるを得ない」というムードは根強いと指摘。野田佳彦首相と 白川方明日銀総裁の会談も緩和方向の思惑につながりやすく、来週の会 合までは円買いを進めにくい面も残るという。

野田首相はこの日の午前、白川総裁と会談。藤村修官房長官が閣議 後の会見で明らかにしたもので、政府と日銀ができるだけ連携を取ると いうことだと説明した。ただ、会談の中身は一切言えないと述べた。

--取材協力:石川茉莉子、大塚美佳. Editors: 持田譲二, 青木 勝

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