債券は続伸か、根強い欧州懸念で米債高

債券相場は上昇。欧州債務問題の再 燃懸念を背景に安全資産の米国債が買われた流れを引き継いだ。野田佳 彦首相と白川方明日銀総裁の会談や日銀の国債買い入れオペも相場の押 し上げ要因となった。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは「新 年度入り後に、スペイン国債の問題や米連邦準備制度理事会(FRB) の金融政策に対する姿勢を受け、株式市場に失望感が出て、上値が重か った債券相場にも買いが入っている」と指摘。週明けの相場は米雇用統 計次第の面はあるが「欧州債務問題への懸念が早期に晴れることはな く、リスクオフ(回避)の展開が続くのではないか」と予想した。

東京先物市場で中心限月6月物は前日比8銭高の141円82銭で取引 を開始。日銀が午前10時10分に今週2回目となる国債買い入れオペを通 知したことで債券需給が締まるとの見方が広がり、水準を切り上げた。 午後1時過ぎには142円13銭と3月14日以来の高値を記録。14時過ぎ に141円90銭まで伸び悩む場面があったが、その後は上げ幅を広げ、結 局は30銭高の142円04銭で引けた。

先物取引開始前に、野田首相がきょう午前に都内のホテルで日銀の 白川総裁と会談した、と時事通信が報じた。情報源は明示せず、当面の 金融政策について意見交換したとみられるとも伝えた。藤村修官房長官 は午前の閣議後会見で会談の事実を確認した。日銀は来週9、10日に金 融政策決定会合を開く。

週明けに金融政策決定会合

UBS証券の伊藤篤シニア債券ストラテジストは、野田首相と白川 総裁の「会談は定期的に開くことになっていた。ただ、決定会合前なの で、追加緩和期待感が出やすい」と指摘。「4日の低調なスペイン国債 入札をきっかけに、欧州債務懸念が再び盛り上がり、米独国債が買われ た。円債も追随して買いが優勢だ。昨年11月以来、欧州問題はいったん 落ち着いていたが、ぶり返している」とも話した。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の321回債利回りは 1ベーシスポイント(bp)低い0.99%で始まり、その後も徐々に低下。午 後に入ると一時2.5bp低い0.975%と3月13日以来の低水準を付けた。午 後3時30分時点では0.985%。5年物の103回債利回りは1bp低い0.32% で開始。一時2.5bp低い0.305%と3月14日以来の低水準を付けた。午後 1時半過ぎからは0.31%で推移した。

超長期債も堅調。20年物の134回債利回りは一時2.5bp低い1.745% と3月30日以来、30年物の36回債利回りは1.5bp低い1.94%と2日以来 の低水準を付けた。

スペイン、イタリアが注目

JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は 「欧州圏での債務問題が再発し、株価が下落しており、円債には買いが 優勢となっている」と指摘。「当面はスペイン、イタリア国債の利回り 上昇など欧州市場の動向が注目される」と述べた。

5日の米債相場は続伸。欧州債市場ではスペインやイタリアを中心 に高債務国の国債が下落。フランスが実施した国債入札では借り入れコ ストが上昇するなど、欧州債務懸念の再燃が手掛かりとなった。米10年 債利回りは前日比4bp低下の2.18%。米株相場は続落。S&P500種株 価指数は0.1%安の1398.08。

一方、米国では3月の雇用統計が今晩発表される。ブルームバーグ の調査によると、非農業部門雇用者数は20万5000人の増加が見込まれて いる。前月は22万7000人増。予想通りなら、4カ月連続で20万人超とな る。

長期金利は約3週間ぶりの低水準を付けたが、一段の低下余地は小 さいとの見方がある。野村証券の松沢中チーフストラテジストは、3月 の米連邦公開市場委員会(FOMC)前の国内長期金利が0.97%だった と指摘。「追加緩和観測が強まってきても、ここを下回る環境ではな い」とみている。昨年来最低の0.935%を試すような環境とは、欧州の 金融不安が2010年、11年並みに膨らみ、米QE3(量的緩和第3弾)実 施が再度視野に入ってくる時との見方を示した。

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