ECB総裁:出口議論は時期尚早-スペインの資金調達難航

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総 裁は、ECBが緊急に導入した景気刺激措置の早期引き揚げの議論を打 ち消した。スペインは金融市場での資金調達に苦戦し、域内債務危機再 燃のリスクが去っていないことがあらためて示された。

スペインのラホイ首相は4日、同国が「極度の困難」に直面してい ると発言した。その数時間後にドラギ総裁は政策決定後の記者会見で、 ECBがユーロ圏の銀行への支援を引き揚げ始めるという議論は「時期 尚早」だと言明。総裁は一方で、必要ならば物価リスクへの対応を ECBはためらわないと明言し、ドイツで高まりつつあるインフレ懸念 への配慮もにじませた。ECBは同日、政策金利を過去最低の1%で据 え置いた。

昨年11月のドラギ総裁就任以来、ECBのバランスシートは約30% 拡大した。債務危機の沈静化に向けて、ECBは域内銀行システムに1 兆ユーロ(約108兆円)余りを注入。ドイツでは労働組合がこの20年で 最大規模の賃金引き上げを勝ち取るなどインフレの脅威が浮上し、緊急 措置の解除を求める圧力が高まっている。

ベレンベルク・バンクのチーフエコノミスト、ホルガー・シュミー ディング氏は「ECBの出口戦略をドイツ連邦銀行が早まって呼び掛け たことが新たな市場不安定を引き起こした。その焦点はスペインだ」と 分析。「根拠のない市場パニックが新たに起こるリスクは引き続き深刻 だ」と指摘した。

ECBによる銀行への3年物資金供給が金融市場の緊張緩和につな がり、高債務国の借り入れコストは低下したが、スペイン国債の利回り は再び上昇している。

火種はスペイン

スペイン政府は4日の入札で、国債25億9000万ユーロ相当を発行。 発行高は目標レンジの下限付近にとどまった。入札の後、スペイン10年 債の利回りは5.6%を超え、3カ月ぶり高水準に達した。

30年で最大の歳出削減を盛り込んだ予算の成立を目指すラホイ首相 は与党国民党の会議で、「スペインは極度に困難な経済状況に直面して いる。今一度言うが、極度に困難だ。それを理解しない者は自らを欺い ている」と訴えた。

ドラギ総裁はスペインの入札に直接触れることを避け、各国政府は ECBの緊急措置によって与えられた時間的猶予を生かし、約束した構 造改革と財政再建を実現させなければならないと述べた。

原題:Draghi Scotches ECB Exit Talk as Spain Keeps Debt Crisis Alive(抜粋)

--取材協力:Emma Ross-Thomas、Gabi Thesing、Jana Randow.

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