ECB総裁に試練、ドイツの賃上げ交渉で域内格差拡大の脅威

ドイツの賃金抑制は欧州中央銀行 (ECB)のドラギ総裁にとってまさに悪いタイミングで終わりそう だ。

ギリシャやスペインがリセッション(景気後退)に見舞われ失業率 が過去最悪となる一方で、ドイツの労働者は過去20年で最大級の賃上げ を勝ち取ろうとしており、公務員は来年末までに6.3%の賃金上昇とな る見込みだ。ドイツとユーロ圏諸国の格差拡大は、1つで全てを網羅し ようとするECBの金融政策の効果を低下させる。

INGグループのエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏(ブリ ュッセル在勤)は「ドイツの賃金交渉は労働者には朗報だが、ドラギ総 裁がシャンパンのコルクを抜く可能性は低い」と指摘。「ユーロ圏各国 を個別にみると、ECBの政策は不適切だ。ドイツには緩過ぎるし周辺 国にはあまりにきつい。格差の一層の拡大につながる恐れがある」との 見方を示した。

ソブリン債危機で緊縮策を余儀なくされた国では物価上昇圧力は後 退しているが、ドイツでは圧力が高まる恐れがある。ECBが政策金利 を過去最低に据え置き、銀行システムに1兆ユーロ(約109億円)余り を注入してからわずか数カ月の時点でドラギ総裁はインフレの「上振れ リスク」を警告し、緊急措置の解除方法の協議を始めた。

ECBは4日にフランクフルトで政策委員会を開く。ブルームバー グ・ニュースのエコノミスト調査では、回答者57人全員が政策金利は 1%に据え置かれると予想した。政策決定は現地時間午後1時45分(日 本時間同8時45分)に発表され、その45分後にドラギ総裁が記者会見す る。

過去10年にわたる労働市場改革でドイツの競争力は高まり、同国は 「欧州の病人」から域内の原動力に変貌した。欧州連合(EU)統計局 (ユーロスタット)によると、ドイツの名目総賃金は2000年から09年の 間に年平均2%増と、スペインの同4.7%増の半分未満の伸びにとどま っていた。ドイツではここにきて、失業率が20年ぶりの低水準となり、 ユーロ圏域外への輸出で債務危機の影響を一部回避していることから、 労働者が賃金の引き上げを要求している。

原題:Draghi Tested as German Pay Deals Add to Euro Divergence Threat(抜粋)

--取材協力:Kristian Siedenburg、Gabi Thesing、Sharon Smyth、Maria Petrakis、Jeff Black.

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