首相:政局混迷、政権運営は胸突き八丁-消費税や日銀人事に反発

野田佳彦首相が政権運営の難局に直 面している。消費税増税法案をめぐり、民主党内の亀裂が深まっている ほか、連立を組む国民新党が分裂状態に陥るなど、与党内で足並みが乱 れている。一方で、来月任期切れとなる日本銀行の審議委員人事につい ても公明党やみんなの党が反対を表明。自民党は早期の衆院解散・総選 挙を迫っており、首相は難しい政権のかじ取りを迫られている。

政府は同日午前、小沢一郎元代表に近い慎重派の反発が根強いま ま、増税法案を閣議決定。今後の審議に火種を残した。国民新党の亀井 静香代表は決定に賛同できないとし民主党との連立解消を表明。自民党 の谷垣禎一総裁は、民主党が政権交代時のマニフェスト(政権公約)で 消費税増税に言及していないとして、「消費税を公約に掲げて国民に信 を問うべきだ」と述べ、解散・総選挙を要求している。

一方、政府が国会に提示した、BNPパリバ証券チーフエコノミス トの河野龍太郎氏を日銀審議委員に充てる国会同意人事では、公明党が 反対を決め、自民党も反対する方向で調整。さらに、2012年予算案の年 度内成立も野党の反対で困難となり、同法案が自然成立する来月6日ま での「つなぎ」として14年ぶりに暫定予算を編成する事態となった。

こうした中、野田首相は30日夕に記者会見し、消費税増税法案につ いて「政局ではなく、大局に立つならば政策のスクラムをくむことは十 分可能だと考えている」と野党側に協議を呼び掛けた。今国会で同法案 の成立に「政治生命をかける」と発言していることの真意に関しては、 「文字通り受け止めてほしい、その解釈をうんぬんするのはやぼじゃあ りませんか。どうするかは私の胸三寸だ」と明言を避けた。

国民新党は分裂状態

一方で、国民新党は分裂の危機に陥っている。同党副代表の自見庄 三郎金融担当相は、同日の閣議で増税法案に署名したことを明らかにし た上で、「離党する気は全くない」と述べ、連立与党の一員として郵政 民営化の見直しの実現に向けて最後まで責任を持って取り組む決意を表 明。同党所属国会議員8人のうち、連立残留を希望している自見氏ら6 人の去就が焦点となっている。

加えて、民主党内では先月28日未明に党執行部によって法案の事前 審査が打ち切りとなった後、増税反対派の川内博史衆院議員が記者会見 し、「残念ながら議論は突如として打ち切られた。私どもは一任をして いない」と反発。同席した東祥三衆院議員は「厳重に抗議する」との緊 急声明文を読み上げ、約70人の党所属議員が議論打ち切りに反対する署 名を行ったことを明らかにした。

みずほ総研の山本康雄シニアエコノミストはブルームバーグ・ニュ ースに対し、「民主党も自民党も現状のままでは法案成立の見込みが立 たず、解散・総選挙ということになる」と指摘。一方で、今の民主党と 自民党の枠組みのままでは、選挙時に有権者は判断がつかないとし、民 主・自民の増税賛成派の連立という政界再編を経なければ法案成立は困 難だとみている。

消費税増税が実現できるかどうかは膨大な財政赤字を抱える日本の 国債格付けを左右する。政局によって増税先送りとなれば、財政再建が 後退するとの悲観ムードが市場に広まる懸念もある。政治の混乱により 法案成立の見通しが立たない事態となれば、日本国債の格下げにつなが りかねない状況だ。

日銀委員選任も混迷

来月4日に任期を迎える日銀審議委員2人の人事をめぐっては、河 野氏に対し、29日の民主党財務金融部門会議で複数の議員から反対意見 が出た。自民党内の山本幸三 衆院議員も「量的緩和やインフレ目標政 策に否定的な人だから、自民党は反対しなければいけない」と河野氏起 用に反発。みんなの党の渡辺喜美代表も30日、国会内で記者団に対し反 対を表明した。

日銀審議委員人事は国会の同意が必要となる。参院で野党が過半数 を占める「ねじれ国会」下で、野党が足並みをそろえれば河野氏の人事 が不同意となる可能性は否定できず、社民党や共産党など他野党の出方 が鍵を握る。政府は残る1人の候補選びを水面下で調整しているが、国 会への提示には時間がかかると見られており、一時的な空席が避けられ ない可能性が次第に強まっている。

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