世界の経営者を呼び込め、成田にビジネスジェット専用ターミナル

成田国際空港に31日、経済界などか ら要望が出ていたビジネスジェット専用のターミナルが完成する。首都 圏では初めての施設。出入国手続きの時間短縮などで、国内経営者の海 外へのアクセスや海外ビジネスマンの来日が、従来以上に便利になる。 国土交通省は、同施設の整備で経済人の往来が活発化し、ひいては日本 の経済活性化に寄与することを狙う。

ビジネスジェットは、世界の経営者や富裕層の利用が盛んだが、日 本では欧米などに比べて利用が遅れている。日本ビジネス航空協会の資 料によると、国内空港での2010年の総着陸回数は、日本国籍機が3576 回、外国籍は4423回だが、米ニューヨークのティータボロ空港では、1 空港で8万6669回、ロンドン近郊の空港では1万768回と日本が極めて 少ない。ビジネス機の数も北米が約2万機に対して日本籍の航空機は現 在45機でしかない。

欧米の主要空港ではビジネス機利用者のための専用CIQ(税関、 出入国管理、検疫)施設のある専用ターミナルを備えているほか、中国 などアジアでも北京、上海、シンガポールなどで専用ターミナルを設け ている。それに対して日本の空港では、県営名古屋空港、中部のセント レア空港、神戸空港の3空港だけだった。

国土交通省の室井邦彦政務官はブルームバーグのインタビューで、 ターミナル建設の狙いは「経済にある」とし、「高い成長を続けている 東アジアを意識している。日本の若き中小企業のオーナーが世界を飛び 回り日本の繁栄に寄与してほしいとの思いが第一」と強調した。

室井氏は「今の時代のビジネスは先手必勝であり素早く動くことの 意味は大きい」として、「海外からビジネスリーダーの受け入れ体勢を 整える」と述べた。

プライバシー確保も利点

専用ターミナルの利点は、一般旅客機の利用者とは別の専用ルート が設置されプライバシーが確保されるほか、専用のCIQ施設も設け て、短時間での出入国の手続きが可能になることだ。さらに専用ラウン ジが設置され出発前や到着後にくつろげるほか、免税品の購入や外貨の 両替サービスが利用できる。

利用者は、同ターミナルに隣接した駐車場から、そのままターミナ ル内の専用CIQ施設を通り、専用の送迎車で航空機に向かうことにな る。施設の利用料は1回25万円。成田国際空港は、専用駐機場を昨年3 つ増設して18スポットにし、期間もこれまでの14日間から最大30日間と 拡大させる。

成田国際空港会社の旅客ターミナル部の本吉透マネジャーによる と、ビジネスジェットの利用者は、これまで一般旅客に混じって出入国 手続きが必要だったため、時間に追われるビジネスマンや富裕層、プラ イバシーを重視する著名人から不評の声もあった。今回のターミナル完 成でそれらの問題点がほぼ解消されるとしている。

「日本経済の発展に必要」

成田国際空港会社の森中小三郎社長は29日の記者会見で、同ターミ ナルについて、「すぐに利用者が2、3倍になると思っていないが、日 本経済の発展の流れのなかで必要なもの」と述べた。そのうえで「これ からは時間をお金で買う、別の表現で言えば、時間に敏感な方、セキュ リティーやプライバシーを大事に思う方の需要はあると感じている」と 語った。

長年、国に施設整備を要望してきた日本ビジネス航空協会の佐藤和 信副会長兼事務局長は取材に対し、「諸外国のグローバル企業はビジネ スジェットをもはやパソコンと同じように使いこなしており、競争に負 ける可能性がある。またビジネスジェットの利便性が悪い東京都の世界 的な都市としての競争力が低下してしまう」として、ターミナルの整備 を評価した。

ただ成田空港の場合、都心までのアクセスに問題も残る。成田から 東京駅まで最速の成田エクスプレスで53分かかる一方、羽田は京浜急行 やモノレールを使えば約30分と20分ほどの差がある。

羽田にも専用ターミナルを

プライベートジェットサービス事業などを展開する、ジャパンジェ ットチャーター(港区六本木)の長野順一社長は、「中国などのアジア の新興国のビジネスジェット環境と比べると空港内の移動距離が長くま だまだ不便」と指摘。同社長は「海外の利用者は、より都心に近い羽田 を希望する顧客が多い」として、成田の専用ターミナル設置だけでは 「手放しで喜べない」と述べ、羽田にも同様の施設の必要性を強調し た。

室井氏は、羽田については「今後の検討課題だ」と述べるにとどめ た。国交省は全国規模での一段の普及と利便性の向上を目指し協議を行 っている最中。同省の八木一夫首都圏空港課長は「政府が進める成長戦 略に沿った形で進めている政策」として「今後も空港機能の一段の強化 と整備を進める」と語った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE