長期金利が2週ぶり低水準、年限長期化の買い-消費増税の影響限定

債券市場では長期金利が約2週間 ぶり、超長期金利は約1カ月ぶりの低水準を付けた。欧州債務危機の 再燃を懸念した米国債相場の上昇や、投資家が保有債券の年限長期化 を狙った投資家の買いなどが背景。消費増税をめぐる政治の混乱に対 しては、相場の影響は今のところ限定的だ。

現物債市場で、長期金利の指標となる新発10年物の321回債は午 後に入り、前日比0.5ベーシスポイント(bp)低い0.985%でようやく 寄り付いた。3時ごろには0.98%と13日以来の水準に低下。5年物 の103回債利回りは1bp低い0.315%で取引された。

超長期債も堅調。20年物の134回債利回りは2bp低い1.74%と 約1カ月ぶり、30年物の36回債利回りも1.5bp低い1.925%と2月 28日以来の低水準を付けた。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用グループリーダー は「年金基金などによる月末の保有債券の年限長期化に向けた動きで 10年、20年債を中心に買いが優勢となっている。欧州債務問題が支援 材料となっているほか、期末の買い戻しなども入っている」と説明し た。

東京先物市場で中心限月6月物は前日比横ばいの141円99銭で開 始。午前9時過ぎに6銭安の141円93銭まで下げた後、前日終値を挟 んで推移した。午後は1時前に付けた141円94銭を底に買いが優勢と なり、引け際には5銭高の142円04銭と14日以来の日中高値を記録。 結局は2銭高の142円01銭で引けた。週間ベースでは38銭高と6週 間ぶりの上げ幅となった。

政局混乱の影響、限定的

政府はきょう午前、消費増税関連法案を閣議決定した。財政再建 に向けた前進となるが、野党に加え、与党内でも反対論が強く、法案 成立のめどは立っていない。国民新党の亀井静香代表は午前、連立政 権を解消したと述べた。

ただ、債券相場の反応は鈍い。東海東京証券の佐野一彦チーフ債 券ストラテジストは「消費税増税をめぐる政権の混乱はほぼ材料視さ れていない。最終的に国会で決められなくてもインパクトは小さいだ ろう」と分析。解散・総選挙に至ってもそのショックは5~10bp程度 にとどまるとの見方も示した。

朝方発表された2月の鉱工業生産指数は、予想に反して3カ月ぶ りの前月比低下となった。ただ、相場への影響は限定的。大和証券キ ャピタル・マーケッツの尾野功一シニアストラテジストは「予想外に 悪かったが、3月と4月が増産予想を維持しているので、2月だけで 生産の方向性が変わる感じではない」と説明した。

一方、2月の全国の消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)の 前年比上昇率は5カ月ぶりにプラスとなった。

29日の米国債相場は上昇。欧州債務危機の再燃懸念を背景に逃避 先としての需要が膨らんだ。米10年債利回りは前日比4bp低い2.16% 程度と2週間ぶり低水準。米株式市場ではS&P500種株価指数は前 日比0.2%安となったが、ダウ工業株30種平均は0.2%高。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のソブ リン格付け責任者、モーリッツ・クレーマー氏は28日、ギリシャが債 務再編を余儀なくされる可能性が高いと指摘した。

来週の債券相場について、バークレイズ証券の森田長太郎チーフ ストラテジストは10年債利回りが0.95-1.05%で推移すると予想。 新年度入り直後は投資家の様子見姿勢が強まりやすい上、10年債は毎 月1000億円の増発となるため、需給面から金利は上がりやすいと説明 した。ただ、投資家の押し目買い意欲も強いとも述べた。

--取材協力:池田祐美、赤間信行 Editors:山中英典、青木勝

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