宮尾審議委員:日銀政策が円高修正と株高に貢献-今後も果断に

日本銀行の宮尾龍蔵審議委員は28 日午前、千葉市内で講演し、先月14日の日銀の政策決定が円高修正や 株高の一因になったとの見方を示した上で、金融政策運営は今後も 「タイミングや手段を見極めながら、細心かつ果断な対応が求められ る」と述べた。

宮尾委員は「昨年後半の海外経済の減速や円高などが、製造業の 設備投資をさらに下押しした可能性がある」と指摘。円高修正や株高 の動きは「消費者心理の改善や外国人観光客の増加などにもつながり、 国内需要を一層刺激する可能性もある」として、こうした動きは「景 気の持続的回復と物価の緩やかな上昇をもたらす方向に働くだろう」 と述べた。

さらに、「足元までの金融環境の改善は決して短命に終わるもの ではなく、基礎的条件に沿った基調的・持続的な動きを反映している 可能性がある」と指摘。日銀による一段の緩和の強化が「望ましい基 調的な動きを後押ししている可能性は排除できない」と語った。

日銀は先月14日の金融政策決定会合で、消費者物価指数(CPI) の前年比上昇率1%が見通せるまで強力に金融緩和を推進していくと 表明。10兆円の長期国債買い入れ増額を全員一致で決めた。今月13 日の会合は現状維持だったが、宮尾委員は5兆円の資産買い入れ等基 金の増額を主張。1対8の反対多数で否決された。

潜在的な副作用にも目配り必要

宮尾委員は一方で、「どんな犠牲を払っても1%の物価上昇だけを 達成すればよい」といった政策運営は「あまりに硬直的な運営」であ り、国民経済の健全な発展にとって望ましいものではないだろうと言 明。今後積極的な金融緩和を推進していく中で必要となってくる柔軟 性の1つは「潜在的な副作用に対する適切な目配りだ」と語った。

その上で、巨額の財政赤字や政府債務残高の存在は「財政リスク を高めかねない大きな懸念材料だ」と指摘。「景気回復や株価の上昇を 伴わず、国債に対するリスクプレミアムだけが高まって金利が上昇す ることは、悪い金利上昇と言える」として、こういった財政リスクの 顕現化は「何としても回避しなければならない」と述べた。

さらに、「デフレ脱却に向けて中央銀行が積極的な資産購入・国債 購入を実施しても、大本である財政規律が担保されていなければ、財 政リスクの顕現化という『意図せざる帰結』の蓋然(がいぜん)性を 高めてしまうことになりかねない」と語った。

金融緩和と財政改革の同時進行が必要

宮尾委員は「デフレをまず脱却しなければ財政構造改革を進める ことはできないという議論がある一方で、逆に財政構造改革が進まな い限り、これ以上の金融緩和、とりわけ国債購入を増やすべきではな いといった意見も聞かれる」とした上で、「私は、そのどちらでもない」 と言明。「デフレ脱却に向けた金融面からの積極的な取り組みと、財政 構造改革、成長力強化の取り組みを、国民1人1人がそれぞれの立場 で、同時進行で進めていかなければならない」と述べた。

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