日経平均失われた1年取り戻す、円高修正と業績期待-海外勢買いも

東日本大震災発生からおよそ1年 かけ、日経平均株価は震災や原子力発電所事故をはじめ、数々のダメ ージに見舞われ下落した分をようやく取り戻した。特にこの1カ月半 ほどの回復は急で、世界的な金融緩和を受けた過剰流動性、為替の円 高修正、企業業績の回復期待などから海外投資家の買いが続いている。

メッツラー・アセット・マネジメントの小林光之会長は、日経平 均が震災発生当時の水準まで戻したことについて、「皆が責任感ある行 動を取るといった日本人の国民性が反映されているのだろう」とし、 「経済の支えにもなっていくであろうし、復活の原動力」と述べた。

日経平均は27日の取引で1万255円15銭となり、終値で震災発 生日の昨年3月11日の1万254円43銭を上抜け、同10日以来の水準 を回復した。年初来上昇率は21%に達し、世界の93株価指数の中で 8位。米S&P500種株価指数(26日時点で13%)、ストックス欧州 600指数(同9.6%)を大きく上回り、先進国の主要株価指数では最良 なパフォーマンスとなっている。

震災で寸断されたサプライチェーン(供給網)の復旧は早々に進 んだが、その後に欧米で債務問題が深刻化したほか、為替の歴史的な 円高進行、タイの洪水被害なども重なり、日経平均は昨年11月25日 には日中ベースで8135円まで下落した。

昨年末と様変わり

米マシューズ・インターナショナル・キャピタル・マネジメント の天木健一ポートフォリオ・マネジャーは、「今の日本株市場を取り巻 く景色は、3カ月前の昨年12月に私が見たものとはまるで異なる」と 指摘。当時はまだ円高が進行し、多くの日本企業が収益環境について 悲観的に見ていたが、「もっと楽観的に変わってきている」と言う。

天木氏によると、複数の自動車メーカーや自動車部品会社を訪問 した際、数社は中断していた設備投資計画を最近前進させる決心をし ていたとし、このことは「センチメントがいかに大きく変わったかを 示す。私が最近の東京への出張で見た大きな変化の一つだ」と話した。

昨年12月の欧州中央銀行(ECB)による資金供給オペをきっか けに、欧州域内金融機関の資金繰り懸念が後退。1月には、米連邦準 備制度理事会(FRB)がゼロ金利時間軸の長期化を打ち出し、欧米 に追随する格好で、2月には日本銀行が追加金融緩和策を発表した。 新興国でも昨年来、政策金利引き下げの動きが広がっており、グロー バルな金融緩和の下で、投資家はリスクオンに傾いてきた。

海外勢は12週連続買い越し

米証券のバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは23日、最近の 円安傾向を反映し、TOPIXベースの予想1株純利益を上方修正し た。メリルリンチ日本証券の菊地正俊株式ストラテジストは、世界的 な金融緩和による景気改善期待、来期の企業業績回復、世界の投資家 の日本株比重引き上げなどの好材料から当面は株高が続き、日経平均 はことし9月末までに1万2000円まで上昇する可能性があるとみる。

東京証券取引所の投資部門別売買動向によると、東京、大阪、名 古屋3市場の1・2部合計で、海外投資家は3月第2週まで12週連続 で日本株を買い越している。みずほ証券グローバル調査業務部の堀内 隆文ストラテジストによれば、「日本企業の来期業績リバウンド、収益 変化率の大きさに対する期待が海外勢の間で高まっている」と言う。 日本には「財政制約を抱える欧米に比べ、震災からの復旧・復興関連 補正予算がある」とし、円安が支援する輸出関連企業のみならず、内 需も底堅く推移するだろうとの見方が広がっている、と指摘した。

売買シェアで約7割を占める海外勢の積極参戦が寄与し、東証1 部の1日当たり売買代金は昨年12月の8520億円に対し、1月は9910 億円、2月は1兆3440億円、3月は27日までで1兆3800億円と回復 傾向にある。

懸念は輸入コスト増

もっとも、日経平均が震災前水準に戻ったことについて、住友信 託銀行の瀬良礼子マーケットストラテジストは「感慨深い」としつつ も、「金融面のサポートを受けてここまでの区切りに到着したが、本当 の復興という意味ではまだまだ。われわれは重い荷物を背負って歩い ていかなければならない」と話している。

メッツラーアセットの小林氏は、足元の円高修正は輸出関連株に とってはプラスだが、「輸入コストの増加につながる経路には注意する 必要がある」と指摘。原油高と円安で石油化学製品の原料となるナフ サ価格が上昇、「製造業の利益を圧迫する可能性もある」と警戒する。

震災発生日以降、前日までの約1年間の東証1部33業種の騰落率 を見ると、上昇率上位は建設(17%高)、ゴム製品(16%高)、食料品 (13%高)、小売(11%高)、鉱業(7.2%高)など。下落率上位は電気・ ガス(39%安)、海運(29%安)、証券・商品先物取引(18%安)、電機 (10%安)などだった。日経平均225銘柄の同期間の上昇率上位は太 平洋セメント、千代田化工建設、ファーストリテイリング、OKI、 日揮の順。下落率上位は東京電力、川崎汽船、オリンパス、日本板硝 子、日本電気硝子など個別の悪材料銘柄に加え、相対的に業績悪化銘 柄が多かった。

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