円が対ドル82円後半で弱含み、株高でリスク選好-中国景気警戒も

東京外国為替市場で、ドル・円相場 が1ドル=82円台後半を中心に円が弱含みに推移した。米金融緩和策の 継続見通しを背景に日米の株価が大幅高となったことから、リスク選好 の動きが意識され、円売り圧力がくすぶった。

ドル・円相場は朝方の取引で83円04銭まで円が水準を切り下げたあ と、一時82円80銭まで値を戻したが、円の上値は限定された。午後4時 現在は82円93銭付近で取引されており、東京市場日中の値幅は24銭にと どまった。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、日経平均株価 が200円を超える大幅高で取引を終えており、海外市場でリスクオン (選好)の動きが蒸し返され、ドル買い・円売りの展開になる可能性も あると指摘。ただ、中国経済の弱含みが「新たなリスク」になりつつあ ることから、クロス・円(ドル以外の通貨の対円相場)全般の下押し要 因になっているとし、円安の動きが限定されやすい面もあると説明して いる。

一方、ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=1.3368 ドルと、2月29日以来の水準までユーロ高・ドル安が進行。この日の東 京市場では午後に1.33ドル台前半まで下押されて推移した。ユーロ・円 相場は一時1ユーロ=110円93銭と、21日以来のユーロ高値を付けたあ とは、110円台後半で伸び悩む展開となった。

中国と欧州の動向を警戒

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は26日にバージ ニア州アーリントンで講演し、失業率の低下は「2008年終わりから09年 にかけて起きた異例の大量解雇傾向の反転」を反映している可能性があ るとした上で、この反転プロセスは終わった可能性があると指摘。失業 率をさらに低下させるためには恐らく、企業の生産と個人の需要のより 迅速な拡大が必要だが、その実現に向け「緩和的政策の継続によって支 援することができる」と述べた。

これを受けて、前日の米株式相場は上昇し、S&P500種株価指数 は08年5月以来の高値となった。株価の予想変動率の指標であるシカ ゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指 数)は07年6月以来の水準まで低下している。

この日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比236円91銭 (2.4%)高の1万255円15銭と、終値としては東日本大震災前日の昨年 3月10日以来の高値で引けた。

ただ、中国国家統計局が27日にウェブサイトで発表したところによ ると、1-2月の工業セクターの純利益は前年同期比で5.2%減と、こ の時期としては2009年以来初めて減少している。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、中国経済の見通しが悪く、目先は「オーストラリア・ド ルを筆頭とするクロス・円がいまひとつ」だと指摘。また、週末に欧州 財務相会合を控え、ドイツがファイアウオール(防火壁)の強化に対し て姿勢を軟化させたものの、「増額が不十分という議論も出やすい」と し、ユーロが売られる可能性もあるとみている。

30日にはコペンハーゲンでユーロ圏財務相会合が開かれる。メルケ ル独首相は、欧州債務危機の拡大を阻止するファイアウオールの強化を 容認する意向を初めて示唆。唐鎌氏は、「使った分を増額するという話 なので、市場からは物言いがつくかもしれない」という。

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