フランス電力:英国の津波リスク対策で原発コスト拡大

英国の北海沿いの穏やかな土地にあ るサイズウェルB原子力発電所。責任者を務めるジム・クロフォード氏 は、2000マイル(3218キロメートル)離れたカナリア諸島で火山岩が海 中に崩れ落ちた場合、原発がその影響に耐えられるかどうか知る必要が あった。

昨年の東京電力福島第一原発の事故を受け、サイズウェルBを運用 するフランス電力(EDF)は、以前は想定外とされていた出来事から 英国の原発を守るため、約2億ポンド(約262億円)を割り当てた。英 国地質調査所の海洋地質学者、デービッド・タッピン氏によると、アフ リカ北西部の島の崩壊は、英国を脅かすほどの規模の波を引き起こす原 因の一つになりうるという。

福島の事故を受け、EDFは予想がほぼ不可能な危機である「ブラ ック・スワン」に備えている。あれほど大きい波は紀元前6000年ぐらい 以降英国を襲っていないが、原発の安全性をめぐる一般の不安やコスト 増を背景に、EDFの株価は日本で原発危機が起きてから約40%下落し た。

クロフォード氏はサイズウェルで、「『地殻構造プレートの境界に 位置しているわけではないので、津波が来ることはなく、全く問題がな い』とは言いたくはなかった」と語った。サイズウェルはロンドンか ら100マイル北東にあり、欧州で最も地震が活発な地域から700マイル離 れている。現地には高さ10メートルの防波堤があるが、EDFは現場か ら離れた場所に緊急管理センターを計画しているほか、水素爆発のリス クを減らすために新しい装置の導入も検討している。

福島第一原発が昨年3月に津波に襲われた時、防波堤の高さは8メ ートル足りず、原子炉3基がメルトダウンするという、チェルノブイリ 以降最悪の原発事故につながった。

世界原子力協会のジョン・リッチ理事長は、「福島が本当に意味し ているのは想像力の欠如だ」と指摘。「監督当局や業界のベンダー全て は、想定外のことについて想像し、自然や人間の悪意がもたらす全くあ りえないような出来事に対しても原子炉を安全に保つ必要に迫られてい る」と述べた。

原題:England Tsunami Risk Swells Costs at EDF After 40% Slump: Energy(抜粋)

--取材協力:Tara Patel.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE