シリコンバレーの数学者たち、異常気象に立ち向かう農家支援

ルイス・ウィシュマイヤーさんは、 米インディアナ州コロンバス近郊で約2145ヘクタールの農地を運営して いる。毎年、冬季の大半の期間をトウモロコシと大豆畑にとって完璧な 「処方箋」を探すことに費やしている。

大柄で穏やかな話し方をするウィシュマイヤーさんは、気象データ を丹念に調べ、土壌水分に関する資料を読み込み、ハイブリッド種子に 関する最新の研究を熟読する。全てイールド(単収)を最大限に増やす ためだ。これらの周到な計画も、過去数年間は異常気象の影響で実を結 ぶことはなかった。

わずか5日間の作付けに最適な期間に豪雨に見舞われた。その後も 高温で種子が傷み穀物に被害が出た。ブルームバーグ・ビジネスウィー ク誌3月26日号が報じている。

ウィシュマイヤーさんは「発芽し生育が始まるように2回か3回植 え替えなければならない場合もある」と話す。「地球温暖化」という言 葉はあえて使わず、「異常気象がわれわれの成功に極めて大きな影響を 及ぼしているようだ」と説明する。

この現状に対処するため、ウィシュマイヤーさんは昨年、意外な場 所に目を向けた。それは、ハイテク企業が集中するカリフォルニア州の シリコンバレーだ。

サンフランシスコを拠点とする新興企業クライメートから農作物保 険を購入した。同社はインターネット検索最大手の米グーグルの元幹部 2人がベンチャーキャピタル(VC)から6000万ドル(約50億円)の出 資を得て創業。同社のウェブサイトによると、出資企業にはグーグル・ ベンチャーズやインデックス・ベンチャーズ、コスラ・ベンチャーズ、 ニュー・エンタープライズ・アソシエーツ、アレン・アンド・カンパニ ー、アトミコ、ファースト・ラウンド・キャピタルなどが含まれる。

データの専門家

クライメートは多数のデータ専門の科学者を擁し、米国の農地を分 析。農産物生産の利益の一貫性が高まるよう支援している。ウェブサイ トの在り方を塗り替えているクラウドやモデル化などの技術が従来型の 産業に革命を起こしている一例だ。

クライメートの最高経営責任者(CEO)兼共同創業者、デービッ ド・フリードバーグ氏は「ソフトウエアは世界の在り方を根本的に変え るだろう」と語る。

これまでも、米国の農家は連邦政府が販売する農作物保険に頼って きた。ただ、このプログラムはお役所仕事と見なされることが多い。農 家は政府が決定したスケジュールに沿って作付けを実施し、検査にも同 意しなければならない。生産物の価格推計では、農家は数年間にわたっ てイールドを記録し調査する必要がある。災害に見舞われた場合には処 理手続きに数カ月かかり、支給額もコストをカバーするのみで損失利益 は補償されない。

クライメートのアプローチは異なる。社員130人の中には応用数学 や統計学、神経科学の博士号保持者十数人が含まれる。米気象庁( NWS)の数十年間にわたるデータなどの資料を活用し、全米の農地の 降雨量や気温、土壌水分を予測している。

原題:Silicon Valley Number Crunchers Insure Crops Against Weather(抜粋)

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