金融庁:AIJの強制調査に着手、1090億円の運用損失-実態解明へ

自見庄三郎金融担当相は23日午前 の閣議後会見で、顧客資産を消失させたAIJ投資顧問に対し、同日付 で証券取引等監視委員会が強制調査に着手したと発表した。虚偽の運用 報告で勧誘を行うなど金融商品取引法違反の疑いで、刑事告発も視野に いまだ明らかになっていない資産消失の実態解明をさらに進める。

監視委によると、強制調査の容疑は投資一任契約での偽計。AIJ は2004年度からの9年間で顧客の年金基金などから1458億円を受託し 実際にはデリバティブ運用により1092億円の損失を出していた。しか し顧客には毎年の運用収益の計上などにより11年3月期の純資産は 2090億円に上っていたように見せかけていた。

一方、ファンド受託銀行が作成したAIJの11年3月期の純資産 額は251億円。現在の現預金は49億円、また投資事業組合に出資した 181億円(うち32億円は現預金)、海外ファンドへの出資分21億円もあ る。ただ、現預金の計81億円以外の価値などは確認できていないとい う。金融庁はAIJやアイティーエム証に資産保全なども命じた。

監視委はAIJから取引記録を入手。それによれば、年間57兆円 規模の取引を行っていたこともあり、大半が同社の浅川和彦社長の指示 によるものだったという。金利の上昇を想定したデリバティブ取引で、 実際は金利が低下。損失確定にも失敗し大きな損失を抱えた。受託資金 の流用については1月からの検査では確認できなかったとしている。

金融相は同時に同日付でAIJの登録を取り消したほか、AIJの 販売を担当していたアイティーエム証券に6カ月の業務停止命令を出 したことも明らかにした。会見では「強制調査でさらなる事実解明に期 待する」とし、「再発防止策を幅広く検討する必要がある」とあらため て強調した。同庁はAIJに23日まで全業務停止を命じていた。

アイティーエム証企画部の恒吉八州男マネージャーは23日午前、 ブルームバーグ・ニュースの電話取材に「業務停止命令の事実は現在の 時点で確認できていないが、6カ月という期限は厳しいと感じる」と述 べた。その上で「われわれの主張は変わらず、虚偽報告などに関与して いる事実はない」としている。

一方、中央三井アセット信託銀行が引き受け主幹事の野村証券から 入手した公募増資の情報を使い顧客の運用資産で取引した前例のない インサイダー取引に関して自見金融相は会見で、「わが国市場の信頼を 損なう行為」と指摘。中央三井側については「法令違反行為があり誠に 遺憾」と述べた。ただ、情報を漏らした証券会社の実名は「処分勧告の 対象外で公表しない」という。

--取材協力:日向貴彦 Editor:Kazu Hirano

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