トヨタ社長:震災、円高経て底打ち回復-今年は何もない1年に

トヨタ自動車の豊田章男社長は22 日、都内で記者団に対し、大規模リコールや東日本大震災などの経営 に大きな影響を与えた問題が一段落し、今は底を打って回復途上にあ るとの考えを明らかにした。

豊田社長は大規模リコール問題や震災、一時は戦後最高値をつけ た円高などの苦難を乗り越えたことにより、「過去の節度ない拡大から 底を打ってキュッと戻ってきたところ」と述べ、一時の低迷から脱出 したとの認識を示した。就任後間もない2009年10月には、リーマン ショックの影響で販売が低迷していたトヨタについて、企業の凋落で 存在価値が消滅する一歩手前の「救世主にすがる」段階と指摘した。

豊田社長は、震災からの復興に尽力した従業員や顧客、被災にも かかわらず支援してくれた自治体関係者がトヨタの救世主だったと語 った。その上で、「今年は何もない年にしてほしい」と述べ、「とにか くこの1年何もなく無事に過ごし、そうしたらもう少し明るい見通し も言えるようになる」と話した。

現状の円高に関しては、対ドルで70円台半ばの水準が「あまりに 長期続いた」と指摘。また、現在の80円台前半も「まだ厳しい」と述 べた上で、「85円ぐらいで推移」して「そこで少し時間をかせいでく れれば」と期待を示した。

トヨタは昨年3月に発表した15年に向けたグローバルビジョン で連結営業利益率5%などを掲げた。豊田社長は、さまざまな問題が 起こっても「5%ぐらいの利益は出せる体質にしたい」と述べ、「トヨ タに期待されていることは持続的成長」と強調した。さらに、「国内を ベースにしていくためには、単独でも、いつかは税金を納める会社に していきたい」と述べ、単体ベースの黒字化に意欲を示した。

新興国戦略

グローバルビジョンでは15年までに世界販売に占める新興国の 割合を5割まで高める計画も掲げている。新興国市場では、インドで タタ・モーターズが超低価格の小型車「ナノ」を投入したほか、日産 自動車がダットサンブランドを復活して低価格車を販売予定など各社 がしのぎを削っている。豊田社長は「トヨタにタタのような車をつく る実力はない」と指摘。顧客がトヨタに期待している品質を犠牲にし てまで注力する考えは現時点でないと強調した。

世界最大の自動車市場の中国については「すさまじく大きな市場 が隣にある」との認識を示した上で、低価格車などすべての購入層を 対象にするのではなく、中間層から富裕層に向けての方々に合った車 を投入していく考えを示した。

また、中国市場では、ハイブリッド車が認知され始めており、普 及していくだろうとの見通しを示した。現地ではハイブリッドの研究 開発などに力を入れていく方針で、一般の人が手の届く価格にしてい くことで普及に努めると話した。

みずほ投信投資顧問の青木隆シニアファンドマネジャーは、ハイ ブリッドはトヨタの得意分野であり、新興国でも興味を示す層には受 け入れられると指摘した上で、「そこにマーケットがあると思えば、敢 えて低価格競争に参入しないのも理にかなっている」と述べた。コス ト競争力があがれば「何か打ち出せるかもしれない」と述べ、低価格 車に偏らない新興国戦略に期待を示した。

--取材協力:向井安奈、馬傑 Editor:Hideki Asai

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