ドル・円83円前半、過度の楽観修正局面-日本の貿易黒字で一時円買い

東京外国為替市場ではドル・円相場 が1ドル=83円前半で推移した。日本の2月の貿易収支が予想に反して 5カ月ぶりの黒字となり、一時円買いが強まる場面も見られたが、その 動きも続かず。米国の景気回復期待がやや修正される中、海外時間に米 経済指標の発表を控えて、ドル・円は狭いレンジで推移した。

一方、中国の指標悪化を受けてオーストラリア・ドルが下落。ユー ロも対ドル、対円で一時売りが強まったが、その後は下げ渋る展開とな った。

みずほコーポレート銀行国際為替部の宮地崇調査役は、「海外勢に とってみれば、貿易収支が黒字になったことはそれなりにインパクトが あったようで、ドル・円はいったん下落したが、意外に買いもしっかり している中で戻した」と説明。その上で、「基本的には米国のファンダ メンタルズ(経済の基礎的諸条件)に対する関心が一番高い」とし、楽 観がやや行き過ぎた感もある中で、「今はどちらかというと弱い米指標 に反応しやすい」と指摘した。

ユーロ・ドル相場は中国指標の発表後に1ユーロ=1.32ドル半ば付 近から1.32ドル前半まで小反落したが、午後にかけてはじり高となり、 一時1.3252ドルまで値を戻した。

貿易黒字で一時円買い

財務省が発表した貿易統計速報(通関ベース)によると、2月の輸 出額は前年同月比2.7%減の5兆4409億円と5カ月連続で減少。輸入額 は同9.2%増の5兆4079億円だった。差し引きした貿易収支(原数値) は329億円の黒字。中華圏の春節(旧正月)休暇などの影響で過去最大 の赤字を記録した1月から一転して黒字を確保した。ブルームバーグ・ ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は1200億円の赤字だ った。

貿易黒字化を受け、ユーロ・円相場も一時、1ユーロ=110円ちょ うどを割り込み、109円89銭までユーロ安・円高が進行。しかし、109円 台の滞空時間は短く、その後は110円前半を中心にもみ合う展開となっ た。

一方、英HSBCホールディングスとマークイット・エコノミクス が発表した3月の中国製造業購買担当者指数(PMI)速報値は48.1と 4カ月ぶり低水準となり、5か月連続で製造業活動の拡大・縮小の境目 を示す50を下回った。

米ゴールドマン・サックス・グループは、同指標の発表後に電子メ ールの文書で、中国の利下げの可能性が大幅に高まったと、指摘した。

中国の景気減速懸念からオーストラリア・ドルは下落。対米ドルで は一時、約2か月ぶり安値を付けた。ニュージーランド・ドルも対ドル で1週間ぶりの安値へ下落。この日発表された同国の昨年10-12月(第 4四半期)の国内総生産(GDP)伸び率はエコノミスト予想の半分に とどまった。

米国の景気動向

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 米民間調査機関コンファレンス・ボードが22日に発表する2月の米景気 先行指標総合指数は前月比0.6%上昇と5か月連続のプラスが予想され ている。1月の米住宅価格指数は前月比0.3%の上昇の見通し。先週分 の新規失業保険申請件数は前週比1000件減少の35万件が見込まれてい る。

ドル・円相場は前日の海外市場で一時84円10銭まで上昇し、今月15 日に付けた11カ月ぶりのドル高・円安水準(84円18銭)に迫ったが、そ の後発表された米国の中古住宅販売件数が予想を下回ったことで83円前 半へ反落した。

三菱東京UFJ銀行シニアカレンシーエコノミストの武田紀久子氏 (ロンドン在勤)は、中古住宅販売もぱっとしない数字で、「ここ数週 間で織り込んだほどには米景気の回復について楽観一辺倒にはなれる状 況ではない」と指摘。「緩やかな円安」という長期の見方は変えていな いが、今年中にドル・円が「85円を上回って定着というのもちょっと難 しい」と語った。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は21日、下院監 視・政府改革委員会での証言で、エネルギー価格の上昇は個人消費を抑 制し米経済を弱める恐れがあると指摘した。議長は22日にジョージ・ワ シントン大学で講演する。

そのほか、欧州では3月のユーロ圏総合景気指数(PMI)などが 発表される。

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