森本日銀委員:欧州債務問題再び深刻化の可能性「皆無でない」

日本銀行の森本宜久審議委員は22日 午前、神戸市内で講演し、欧州の政府債務(ソブリン)危機問題は「ギ リシャ支援策の進展により緊張はやや和らいでいる」としながらも、 「この先、再び深刻化して、国際金融市場の混乱や貿易取引の急減を招 く可能性も皆無ではない」と述べた。

森本委員は「わが国経済は新年度前半には緩やかな回復経路に復し ていくことを中心的な見通しとしているが、全体として景気を下振れさ せる方向の不確実性が高い状況にある」と指摘。具体的には、欧州債務 問題の行方や、イランに関する地政学的リスクの高まりによる原油価格 の高騰の可能性、夏場の電力需給の不確実性を挙げた上で、「最大のリ スクは欧州債務問題の今後の展開だ」と述べた。

日銀は先月14日の金融政策決定会合で、消費者物価指数の前年比上 昇率1%が見通せるまで強力に金融緩和を推進していくと表明。10兆円 の長期国債買い増しを決めた。さらに今月13日の会合では、成長基盤を 強化するための資金供給を3.5兆円から5.5兆円に拡充した。

森本委員はイランの地政学的リスクについて「足元、中東情勢を受 けて原油価格が上昇しているが、仮に情勢が一段と緊迫化して原油価格 が大幅に上昇すれば、世界経済をさらに減速させる可能性がある」と指 摘。「わが国にとっても貿易収支や企業収益の悪化などを通じて景気の 下振れ要因となる」と述べた。

原発すべて停止なら経済に影響も

また、電力問題では「夏場の電力需給に関する不確実性がある」と 指摘。「仮に国内の原子力発電所全てが停止した場合には、夏場のピー ク需要時の電力需給が厳しくなり、経済活動に影響を与える可能性があ る」との見方を示した。

さらに、「原油価格が強含むと、原油やLNGの輸入増が純輸出を 押し下げるほか、燃料費価格の変動を受けた通常の電力料金の調整に加 え、火力発電のウエート上昇に伴う電力コストの増加が仮に転嫁される 場合は、企業収益に与える影響にも注意を払う必要がある」と語った。

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