女性の力でサラリーマン文化打破を-ベルリッツ内永氏、原点は化粧室

英会話教室大手ベルリッツコーポ レーション最高経営責任者(CEO)の内永ゆか子氏(65)は日本I BMの若手社員だった1970年代、午後8時になると女子トイレに隠れ たものだ。当時の労働基準法が女性の残業を2時間に制限していたため で、チェック役である上司の帰宅を待って席に戻り、深夜まで働いた。

40年後の現在、内永氏はベルリッツの親会社ベネッセホールディ ングスのほか、ソニーや損保ジャパンの取締役や社外監査役を兼務。 「日本企業が新たなビジネスモデルを打ち立てるには多様性が必要。ま ずは女性登用で『サラリーマンのモノカルチャー』打破を」と訴える。

同氏は90年代にIBMを再生したルイス・ガースナー氏が、国籍 や性別を問わない人事政策を導入した一環として、日本IBM初の女性 取締役に起用されたとしている。ガースナー氏は内永氏に、起用は女性 のためではなく、「いろいろな人の英知を使わないのは、企業のために もったいないと思った」と語ったという。

かつて内永氏をトイレに駆け込ませた労基法は97年に改正され、 女性の社会進出も進んだ。野村ホールディングスでは昨年4月、中川順 子氏が女性初の執行役員に就任。パナソニックとシャープでも、宮井真 千子氏と岡田圭子氏がそれぞれ執行役員となった。しかし、3社とも女 性の取締役は誕生していない。

同7月の東洋経済新報社の調査では、全上場企業の女性役員は前年 同期比で 31人増え585人となったが、それでも全体の1.4%。政府は 2020年までに企業や役所で指導的な地位に就く女性を30%とする目標 を掲げているが、道は遠い。

日本は「1-2合目」

世界経済フォーラムによる11年版の男女格差報告によると、給与 や教育、政治参加などの点から見た総合指数で日本は135国中98位。 中国やジンバブエよりも下だ。首位はアイスランドで英、米はそれぞれ 16、17位。内永氏も日本での女性の社会進出の現状を「富士山でいえ ば1合目か2合目」と評する。

米ゴールドマン・サックスの10年の推計によれば、職業面での男 女格差を解消すれば日本の国内総生産(GDP)は最大15%増える。 同社のストラテジスト、キャシー松井氏は、女性の能力が生かされない 社会は「片足でマラソンを走るようなもの」と指摘。特に人口減に見舞 われている日本は「スキルのある女性を有効に使うべきだ」と語る。

内永氏は著書「日本企業が欲しがる『グローバル人材』の必須スキ ル」(朝日新聞出版)で、日本企業は男性主体の「グッド・オールド・ ボーイズ・ネットワーク」だった、と批判。こうした組織は変化への対 応が遅れビジネスで敗者になる可能性が高い、と指摘した。

ベルリッツは10年代半ばまでに年商10億ドルを突破する目標を掲 げる。11年1-6月期の実績は3億2000万ドル。このうち日本ではイ ンターネットを利用した安価な英会話教室などが目立つことから内永氏 は、従来型の「言語サービスだけでは価格競争になる」として、多様な 文化の中で活躍するノウハウも伝授するサービスに力を入れている。

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