監視委:増資絡み異例インサイダーで中央三井アセット信託に課徴金

証券取引等監視委員会は21日、中 央三井アセット信託銀行が上場企業の公募増資に絡みインサイダー取 引(金融商品取引法違反)をしたとして、金融庁に5万円の課徴金納付 命令を出すよう勧告したと発表した。大手信託が証券会社から入手した 情報に基づき業務上、インサイダー取引を行ったのは初めてという。

発表によると、中央三井アセット信託の社員が、国際石油開発帝石 の増資引受証券会社の社員から、その情報を入手し、顧客から預かった 運用資産で国際石油帝石株式を空売りするなどして利益を得た。増資の 情報は証券会社の引き受け部門から営業社員に、そして中央三井側に伝 わったという。課徴金額は運用報酬額に応じて決定した。

監視委では引き受け主幹事証券の従業員がインサイダー情報を業 務の中で第三者に漏らした例も初めてで、日本の証券市場の信認を著し く傷つけたとして問題を重くみている。国際石油帝石の増資の主幹事は 野村証券、ゴールドマン・サックス、JPモルガン証券、みずほ証券だ が、監視委は情報を外部に伝えた証券会社の実名は公表していない。

野村証は同日夕、監視委による中央三井アセット信託銀のインサイ ダー取引の課徴金勧告を受け、「引き受けで契約交渉をしていた証券会 社の社員から情報を入手したと当局に認定され、誠に遺憾」などとのコ メントを発表。野村証としては「引き続き、当局の調査に全面的に協力 していく」との方針を示した。

国際石油帝石の増資は2010年7月に公表されその規模は約5000億 円と大きかった。中央三井側がインサイダーで得た利益は約1400万円 に上ったという。監視委では日本板硝子や東京電力株などの大型増資で も公表前から株価が下落するなどインサイダー取引の疑いがあるとみ て複数の海外当局とも連絡を取り合いながら幅広く調査を進めている。

リスク認識不十分

中央三井アセット信託の住田謙社長は21日夕の会見で、「個人とし て何がインサイダーかという慎重を欠き、会社としては運用担当者と証 券会社の営業担当が面談するリスクに対する認識が欠けていたと反省 している。関係者に多大なる迷惑をおかけし、深くお詫びします」と陳 謝した。

同信託銀では法令順守の徹底が不十分だったとして、社外有識者を 含む特別調査委員会を設置し、再発防止策の策定などを進める。4月以 降の新体制の下で経営責任の明確化と関係者の厳正な処分を実施する 方針だ。インサイダー取引で得たものの、課徴金の対象にならなった利 益の自主返納なども検討しているという。

国際石油開発帝石は、同日夕、「新株式発行および株式売出しに関 して勧告に至る事態が発生していたことは極めて遺憾」などとするコメ ントを発表。その中で「健全、公正かつ効率的なマーケットの形成や投 資家保護のため、当局により適切かつ厳正な対応がなされるとともに、 このようなことが再発しないよう強く希望している」と述べた。

--取材協力:谷口崇子 Editor:Kazu Hirano

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