3月19日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。

◎NY外為:ドル指数が1週間ぶり安値、フランやユーロ高い

ニューヨーク外国為替市場ではドル指数が1週間ぶりの安値とな った。ドルはスイス・フランに対して売られたことで、対フランでの 売り注文が発動、ドル下落に拍車がかかった。

ユーロは対ドルで上昇。100日移動平均線を上抜けたことから、 一段と上昇する可能性がある。ユーロは主要通貨の大半に対して一時 は下落する場面もあった。ユーロ圏総合景気指数の発表を前に、活動 縮小が予想されていることが材料視された。スウェーデン・クローナ や南アフリカ・ランドを含む高利回り通貨もドルに対して上昇。リス ク資産の需要が高まるなか、株式相場が値上がりしたことが背景。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの為替ストラテジスト、マー ク・マコーミック氏(ニューヨーク在勤)は「ドルは先週急上昇した ため、ポジションを調整する動きが広がっている」と指摘。「ユーロ は1.30ドルの水準を維持している上、1.32ドルを上抜けたこと から、さらなる上昇への勢いがありそうだ」と述べた。

ニューヨーク時間午後5時現在、主要6通貨に対するインターコ ンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は前営業日比0.4%下げ て79.451。一時は79.355と9日以来の低水準を付けた。

ドルは対円では下げ渋る展開となった。円に対するドルの相対力 指数(RSI、期間14日)は72.1と、ドルの買われ過ぎを示す 70をなお上回っている。

スイス・フランとユーロ

スイス・フランは対ドルで前営業日比0.5%高の1ドル=

91.12サンチームと、主要通貨の中ではドルに対して値上がり率ト ップとなった。ドルは対ユーロで0.5%安の1ユーロ=1.3238ド ル。

ソシエテ・ジェネラルの法人為替営業ディレクター、カール・フ ォチェスキ氏(ニューヨーク在勤)は「ドルはスイス・フランに対し て91.56サンチームを割り込んだところで大きく下落した」と指摘。 「ストップロス(損失確定)のドル売りを誘発し、その影響がユーロ 相場にも及んだ」と述べた。

ユーロはドルに対して1.3207ドルの水準にある100日移動平 均を上抜けた。スウェーデン・クローナは対ドルで0.4%高、南ア フリカ・ランドは0.2%の値上がり。

コメルツ銀で債券・商品・通貨のテクニカル分析責任者を務める カレン・ジョーンズ氏によれば、ユーロは対円で重要な上値抵抗線で ある1ユーロ=111円57銭を上抜ければ、7カ月ぶり高値の113 円29銭まで3.6%上昇する可能性がある。

JPモルガン・G7ボラティリティ指数によると、主要7カ国 (G7)通貨の3カ月物オプションのインプライド・ボラティリティ (IV、予想変動率)は10.03に低下。先週は10.72と先月16 日以来の高水準に達していた。

ラガルド氏の発言

ユーロはこの日、一時値下がりした。国際通貨基金(IMF)の ラガルド専務理事は前日、各国の政策当局者が誤った安心感を持たな いよう促したことが手掛かり。同専務理事は北京で開かれた経済フォ ーラムでの講演で、石油価格や先進国の債務水準、新興国の景気減速 のリスクが世界経済の安定を脅かしていると指摘。

「楽観論でわれわれが誤った安心感を持ってはならない」と発言。 「われわれは従来通りに戻ることはできない」と指摘した。

ブルームバーグがエコノミスト21人を対象にまとめた調査によ ると、3月のユーロ圏総合景気指数は49.6と前月の49.3からの 上昇が予想されている。同指数は50が活動拡大・縮小の分かれ目と される。

◎米国株:S&P500上昇、08年5月来高値-アップル配当で

19日の米国株式市場ではS&P500種株価指数が上昇、2008 年5月以来の高水準となった。アップルの配当再開方針と100億ド ルの自社株買い計画が好感された。

アップルは2.7%上昇して601.10ドルと、最高値を更新した。 シティグループは1.3%の上昇。上海浦東発展銀行の持ち株

2.71%を売却したのが手掛かりとなった。USスチールは6.4%値 上がりし資源株の上げを主導した。小荷物輸送のユナイテッド・パー セル・サービス(UPS)は蘭TNTエクスプレスの買収合意が好感 され値上がりした。バンク・オブ・アメリカ(BOA)は2.8%安。 一時は10ドル超まで上昇する場面もあった。

S&P500種株価指数は前営業日比0.4%高の1409.75。ダ ウ工業株30種平均は6.51ドル(0.1%)上昇して13239.13ド ル。ナスダック総合指数は0.8%上昇して3078.32だった。

INGインベストメント・マネジメントで資産配分責任者を務め るポール・ゼムスキー氏は「配当が引き上げられる余地は大きい」と 述べ、「配当はその企業と景気の健全さの証しだ。投資家の信頼感と いう意味では良好な兆候だ」と続けた。

S&P500種は年初から12%上昇。S&P500種の株価収益 率(PER、実績ベース)は14.6倍と昨年7月以来の高水準だが、 1954年以降の平均(16.4倍)を下回っている。

アップルの配当

アップルの発表によると、同社は7-9月期(第4四半期)から 1株当たり2.65ドルの配当を実施する。自社株買いは2013年度 (12年10月-13年9月)に開始し、3年をかけて行うという。

好調な製品販売に支えられてアップルの手元資金は増大、株主は 配当を通じて一部利益還元を求めていた。

ピーター・オッペンハイマー最高財務責任者(CFO)はこの日 の発表資料で、「われわれは当社の将来について極めて強い自信を持 っている。膨大な機会が待っていると考えている」とし、3年間で約 450億ドルを株主に支払う計画だと明らかにした。

KBW銀行株指数は0.5%高。構成する24銘柄のうち20銘柄 が値上がりした。BOAは2.8%安、5日ぶりに下げた。 シティグ ループは1.3%値上がりした。

USスチールはS&P500種銘柄の中で最も値上がりした。U BSは鉄鉱価格の回復によってUSスチールが恩恵を受けるだろうと 指摘した。

UPSは3.4%上昇。TNTエクスプレスの買収合意をめぐっ てはUPSが価格を当初の提示額から5.6%引き上げて約51億 6000万ユーロで合意に至った。

住宅建設株

S&Pの住宅建設株指数は0.9%低下。午前に発表された住宅 市場指数が嫌気された。

全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発 表した3月の米住宅市場指数は28と、前月から変わらず。ブルーム バーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は30だった。 同指数で50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみて いることを示す。

KBホームは6.8%安、パルトグループは1.4%下落した。

◎米国債:10年債は9日続落、06年6月以来最長の下落局面

米国債市場では10年債が9営業日続落。2006年6月以来で最 長の下落局面となった。米経済が強さを増していることを背景に、安 全資産としての米国債の投資妙味は薄れるとの観測が広がった。

前週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が景気判断を上方修正 したことを受け、株式などのよりリスクの高い資産に買いが集まった ほか、追加の量的緩和(QE)観測が後退。10年債利回りはこの日、 昨年10月以来の高水準に上昇した。ニューヨーク連銀のダドリー総 裁はFOMCが金利を引き上げる時期について、2014年の前でも後 でもあり得ると述べた。

キャンター・フィッツジェラルドの金利責任者、ブライアン・エ ドモンズ氏(ニューヨーク在勤)は、「手じまい売りが続いているよ うだ。短期間で大きな動きが見られた」と指摘した。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時 間午後5時現在、10年債利回りは前営業日比8ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上昇の2.38%。昨年10月28 日以来の高水準となっている。同年債(表面利率2%、2022年2月 償還)価格は22/32下げて96 22/32。

国債購入

10年債利回りの相対力指数(RSI、14日間)は利回りがこ れ以上あまり上昇しないことを示す水準に達した。この日の指数は 76と、4営業日連続で70を上回った。70を上回ると、利回りが 反転する可能性を示唆する。

米金融当局による景気刺激策が一助となり、米国の雇用市場は回 復傾向を強めている。ダドリー総裁はただ、米経済拡大に関するリス クは雇用市場の改善によって打ち消されるものではないとの認識を示 した。

ウンダーリッヒ・セキュリティーズのマネジングディレクター兼 米国債トレーディング責任者、マイケル・フランゼーズ氏(ニューヨ ーク在勤)は「ダドリー総裁は国債の追加購入に確信を持っていない と発言した。このため追い風がやや弱まった」と解説した。

ニューヨーク連銀はこの日、借り入れコスト引き下げに向けた措 置の一環として、2020年5月から2022年2月を償還期限とする 米国債51億ドル相当を買い入れた。

利回り上昇

10年債利回りは2.33-2.42%の上値抵抗線を試す展開とな っており、このレンジを抜けた場合には3.10%まで上昇する可能性 がある。シティグループの主任テクニカルアナリスト、トム・フィッ ツパトリック氏が顧客向けリポートで指摘した。

同氏は電話インタビューで、欧州の債務危機がやや安定の兆しを 見せていることやFRBの景気判断が楽観を強めていることを手掛か りに、利回りは一段と上昇してきたと分析した。

三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロ ス氏(ニューヨーク在勤)は「米経済は恐らく強さを増していると市 場は見ている」と指摘。「経済統計を考慮すれば、QE3が実施され ると主張するのは困難だ。一方でQE3を想定したポジションは大量 にあった」と述べた。

米国債の割高感が薄れてきていることが指標で示されている。 FRBのエコノミストが開発した金融モデルに基づくタームプレミア ム(期間に伴う上乗せ利回り)はこの日マイナス0.25%。今年2月 2日にはマイナス0.79%と、過去最も割高な水準に下げていた。マ イナスのタームプレミアムは投資家が適正水準を下回る利回りを積極 的に受け入れることを意味する。

◎NY金:反発、ドル下落で代替需要-終値1667.30ドル

ニューヨーク金先物相場は反発。ドルが下落したことで、代替投 資先としての金の需要が高まった。

ドルは主要6通貨のバスケットに対して一時0.5%安と、9日 以来の安値となった。金は今年に入って6.4%上昇している。欧州 の各国首脳が域内債務危機の収束に向けて取り組んだことなどが背景 にある。

TDセキュリティーズの商品戦略責任者バート・メレク氏(トロ ント在勤)は電話インタビューで、「金は為替市場でのドル下落に反 応している」と指摘。「長期的な金の需給ファンダメンタルズに変化 はない。金融緩和が大規模に講じられている上、原油高を要因とした インフレの可能性もある」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 4月限は前営業日比0.7%高の1オンス=1667.30ドルで終了し た。

◎NY原油:続伸、米経済成長加速に伴う需要増加への期待で

ニューヨーク原油先物相場は続伸。世界最大の原油消費国である 米国の経済成長加速に伴い、燃料需要が高まるとの観測が広がった。

米住宅建設業者の景況感を示す指数は3月に2007年6月以来 の高水準を維持。販売見通し指数は上昇した。バンク・オブ・アメリ カ(BOA)は2012年の原油価格見通しを上方修正した。景気回 復に加え、国際情勢の緊迫で供給が縮小するとの見通しが理由。米国 の代表的な油種であるウェスト・テキサス・インターミディエート (WTI)は年初から9.4%上昇している。

プレステージ・エコノミクス(テキサス州オースティン)のジェ イソン・シェンカー社長は「米経済は引き続き成長しており、それが 原油価格を下支えている」と指摘。「原油と石油製品の両方で世界的 に供給への懸念があるのはもっともな話だ」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前日 比1.03ドル(0.96%)高の1バレル=108.09ドルで終了。終 値としては1日以来の高値となった。同限月は20日が最終取引日。

◎欧州株:ほぼ変わらず、8カ月ぶり高水準付近-英マイシスが高い

19日の欧州株式相場はほぼ変わらず。先週のストックス欧州 600指数は2.6%高と、2月初め以来の大幅な伸びだった。

英保険会社のスタンダード・ライフとデンマークの運輸会社D SVはそれぞれ1.2%安と2%下落。アナリストの株式投資判断引 き下げが嫌気された。一方、金融機関向けソフトウエアメーカーの 英マイシスは7.4%高。米プライベートエクイティ(未公開株、P E)投資会社ビスタ・エクイティー・パートナーズによる13億ポ ンドでの買収合意が買い手掛かりだった。ギリシャの銀行株は上昇。 欧州で社債保証コストが低下したことが材料視された。

ストックス欧州600指数は前営業日比0.1%安の272.07で 終了。同指数は先週、ドイツや米国などの経済統計が世界の経済成長 のペース加速を示唆したほか、米金融当局が景気判断を引き上げた ことを背景に昨年7月以来の高水準をつけていた。

クレディ・スイス・プライベート・バンキングの資産配分担当 責任者、マイケル・オサリバン氏は相場が「非常に値上がりしたの で、酸欠状態になったようなものだろう」と指摘、「今後数週間で ある程度調整が入っても驚かない」と続けた。

この日の西欧市場では、18カ国中8カ国で主要株価指数が下落 した。

◎欧州債:独30年債は上昇-IMF専務理事が景気への脅威を警告

19日の欧州債市場ではドイツ30年債が上昇し、利回りは4カ 月ぶり高水準付近から低下した。国際通貨基金(IMF)のラガルド 専務理事が世界経済の安定への脅威を警戒するよう各国当局者に促し たことが手掛かり。

ドイツ10年債は前週末からほぼ変わらず。この日は、ギリシャ の債務交換に伴うクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)決済 のための入札が実施された。

ポルトガル国債は上昇。米パシフィック・インベストメント・マ ネジメント(PIMCO)のモハメド・エラリアン最高経営責任者 (CEO)は、ポルトガルが第2のギリシャとなる公算が大きいとの 見解を示した。独誌シュピーゲルが同CEOとのインタビューの内容 を公表したが、ポルトガル国債には影響を及ぼさなかった。ユーロ圏 の救済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)はこの日、 15億ユーロ相当の20年債を発行した。

DZ銀行の債券ストラテジスト、ミヒャエル・ライスター氏は 「IMF専務理事の発言を受けてドイツ国債は上げている。多くの懸 念材料が残っていることを投資家はあらためて認識した。そのほとん どはギリシャに関するものだ。今回の救済策が最後となることは恐ら くないだろう」と続けた。

ロンドン時間午後4時12分現在、ドイツ30年債利回りは前週 末比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.68%。 16日には2.73%まで上昇し、昨年12月8日以来の高水準を付け た。同国債(表面利率3.25%、2042年7月償還)価格はこの日、

0.630上げ111.705。10年債利回りは2%まで下げた後、1b p低下の2.04%となった。

ポルトガル10年債利回りは前週末比14bp低下し13.52%。 1月31日にはユーロ導入以後の最高となる18.29%を記録した。

◎英国債:5日ぶり上昇、IMF専務理事が景気への脅威を警告

19日の英国債相場は5営業日ぶりに上昇。国際通貨基金(IM F)のラガルド専務理事が各国の政策当局者に対し、世界経済への脅 威を警戒するよう促したため、比較的安全とされる英国債の需要が高 まった。

英10年債利回りは昨年10月以来の高水準から低下。米パシフ ィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のモハメ ド・エラリアン最高経営責任者(CEO)は、ポルトガルが第2のギ リシャとなる公算が大きいとの見解を示した。これも買い材料となっ た。エコノミスト調査によれば、20日公表の2月の英インフレ率は 5カ月連続で低下すると見込まれている。

インベステック・バンクのアナリスト、ブライアン・バリー氏は、 「株式とリスク資産が総じて下落したことから、安全な資産が買われ たのはそれほど意外ではない」と述べ、「中期的な景気見通しが大き く変わるかどうか、一見しただけでははっきりしない」と続けた。

ロンドン時間午後4時8分現在、10年債利回りは前週末比3ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.42%。16日 には昨年10月31日以来の高水準となる2.49%まで上昇した。同 国債(表面利率4%、2022年3月償還)価格はこの日、0.255上 げ113.935となった。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 大塚 美佳 Mika Otsuka +1-212-617-5823 motsuka3@bloomberg.net Editor:Shigeru Chiba ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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