【書評】ブランクファイン氏はシラー教授に感謝状を

米ゴールドマン・サックス・グルー プのロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)は大急ぎで米 エール大学のロバート・シラー教授に感謝の手紙を出すべきだ。

最近のゴールドマンたたきの風潮の中で、シラー教授はアイビーリ ーグ名門大学の他の学者ならば誰もあえてしない勇気ある行動を起こし てくれた。教授は著書「ファイナンス・アンド・ザ・グッド・ソサイエ ティー」で、金融は善でありゴールドマンが意図的に悪を働く理由はな いと論じたのだ。

シラー教授はこの入門書で、金融資本主義がどのように繁栄をもた らすかを説明。「人々は資本家を含む社会の富裕層には、国民の大半を 経済的に自らの支配下に置くため不当な手段で攻撃するという現実かつ 真の動機があると考えがちだ」が、それは「幻想だ」と記している。

そして、どのような不適切行為があったにせよ、ゴールドマンの幹 部がジョン・ポールソン氏のヘッジファンドのために「アバカス2007- AC1」合成債務担保証券(CDO)を組成した際、故意に誰かを欺い たわけではなかったとも諭す。

シラー教授はウォール街を弁護しているわけではない。本著はゴー ルドマン社員だったグレッグ・スミス氏が退社直前に同社の「有毒」企 業文化や幹部らが顧客を「操り人形」と呼んで不謹慎な会話をしていたこ となどを批判する前に書かれたものだ。それでも、すべてのバンカーが 「バンクスター(バンカーとギャングスターの合成語=顧客をだます悪 徳バンカーの意)」だとする概念は社会にとって有害かもしれないとい うことを注意喚起するシラー教授の見方は正しいだろう。

「現在まかり通っている仮説は、企業には攻撃的かつ悪徳な行動を 取る現実の動機があるというもののようにしばしば見受けられる」が、 そのような信念が社会に深く浸透することを許すと、不満・憤りが培養 され繁栄が拡大するペースを遅らせることになると、シラー教授は解説 する。

金融には瑕疵(かし)があるとしても、より豊かで公平な社会を構 築するための力強い手段であり善であることは昔からの事実だと、シラ ー教授は論じる。金融工学の新技術は有毒CDOによって汚名を着せら れたものの、火災保険や住宅ローンなどで利便性ももたらした。

シラー教授は米国の住宅バブルと破裂、ボーナスの巨大バブル、家 計債務の急拡大、富裕なバンカーらを政府が救済したことなど、金融に まつわる行き過ぎを弁護しはしない。

同教授によれば、金融資本主義は自然のようなものだ。「美しくは あるが、醜いものも生み出される」という。

原題:Yale’s Shiller Defends Goldman Sachs, Praises Finance: Books(抜粋)

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