【モーゲージ】団塊ジュニアが支える新築住宅市場、12年度88万戸の声

国内の住宅需要は2012年度も底堅 く推移しそうだ。少子高齢化や景気低迷など外部環境に大きな改善は見 られないが、いわゆる「団塊ジュニア世代」が住宅購入の中心である30 代後半に達してきたためだ。長期的に続いている低金利も購入意欲を高 める要因となっている。

新築住宅着工は景気悪化で09年には79万戸と東京オリンピックが 開催された64年以来、45年ぶりに80万戸を割り込んだ。しかし、ドイ ツ証券の大谷洋司アナリストは、この3月で終わる今年度は前年度比 4%増の85万1000戸と底入れし、12年度も同4.2%増の88万7000戸 と見込む。

JPモルガン証券のイェスパー・コール株式調査部長は、今後の国 内の住宅市場について「日本は人口動態統計的に良い時期だ」と語り、 「ベイビーブーマー(団塊世代)の子どもが30代後半から40代前半と なり、この世代から住宅需要が出てくる」と述べた。

総務省統計局の人口推計(1月1日現在)によると、最も多いのが 団塊世代にあたる60-64歳の1060万人で、その子供たちに当たる35 -39歳の965万人、40-44歳の944万人と続く。一方、リクルート10 年の調査によると、新築マンションの年齢別契約率が最も高いのは30 -34歳(33.1%)で次が35-39歳(24.0%)となっている。

低金利や優遇策も追い風

住宅販売は足元で着実に堅調さを示している。野村不動産が昨年12 月に発売した大震災後初の都心湾岸エリアの地上52階建てタワーマン ションは総戸数600戸のうち第1期250戸が即日完売。不動産経済研究 所(東京都新宿区)によると、12年の首都圏マンション発売戸数は5万 3000戸と前年比19%増加する見込み。

東京建物の佐久間一社長は、低金利などの環境が堅調な住宅販売を 支えていると分析する。住宅ローン金利の基準となる新発10年国債利 回りは今年1月には1%を割り込み0.94%まで低下。これを受けローン 金利は低下が続き、例えば三井住友銀行の固定金利特約型10年(店頭 金利)は3月が3.65%と09年3月以来の低水準となっている。

耐震性や省エネ性に優れた住宅に対するローン金利優遇制度も追 い風だ。政府は大震災後の経済対策の一環として、昨年12月に住宅金 融支援機構(JHF)による長期固定金利住宅ローン(フラット35)の 金利優遇措置を復活した。被災者向けの最優遇金利に加え、一般消費者 にも通常時よりさらに低い金利での融資提供を継続している。

幅広い経済効果に期待

住宅建設の経済効果は、関連産業が広範囲のため非常に大きい。国 土交通省の住宅経済データ集(11年度版)によると、日本の住宅投資額 は年約13兆5000億円の規模だが、鋼材や電機などの他の部門も含める と、その波及効果は約2倍の26兆円1000億円に及ぶ。新築戸建てでは エネルギー効率化、オール電化、太陽光発電の導入も増えている。

大和ハウス工業など国内ハウスメーカーが会員として加盟する住 宅生産団体連合会は08年度に政府に対し、住宅投資の拡大が国内景気 を押し上げる効果があるとして、日本の住宅投資の対GDP比率を先進 国並みに引き上げるべきだと強調した。同比率は07年度は米国6.2%、 ドイツ5.2%であるのに対し、日本は3.3%となっている。

金利先安観などから借り換えも盛んだ。支援機構が国内金融機関を 対象に行った調査によると、金利がさらに低下するとみて過去に組んだ 高い金利の契約を変動金利型ローンに乗り換える例が増えている。10年 度の新規貸出に占める借り換えの割合は36.7%と調査開始の07年度の

24.9%以来の高い水準となった。

こうした中、住宅ローンの証券化も拡大している。JHFが民間金 融機関の保有する住宅ローンを買い取って流動化し、投資家に販売して いる月次債券の発行額は、2011年度は前年比57%増の2兆3799億円と 2001年度からの発行開始以来最高となった。10年度は1兆5140億円だ った。

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