ドルが83円半ばで伸び悩み、上昇スピード警戒-米金利動向を見極め

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が1ドル=83円台半ばを中心に、前日に付けた昨年4月以来の高値84 円18銭から水準を切り下げて推移した。ドルは2月1日に付けた年初来 安値からの上昇率が11%近くと、昨年年間の騰落率11.9%と比較して短 期間で急速に上昇していることから、スピード警戒感が生じやすく、ド ル買いの勢いが鈍った。

ドル・円相場は朝方に付けた83円63銭を上値にじり安に展開し、午 後の取引で一時83円28銭まで下押しされた。ただ、下値も限定的で、そ の後はやや値を戻し、午後3時48分現在は83円50銭付近で取引されてい る。相場の過熱感の目安となる相対力指数(RSI、14日間)は75台に 乗せて、ドルの買われ過ぎを示す70を上回っており、前日の海外市場で は一時83円20銭まで下落している。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、今年に入ってド ルは8円強上昇しており、「当然調整が入ってもおかしくない」とい い、基本的にドルの先高観がある中で、目先はどこまで調整が進むかが 焦点だと指摘。米国時間には7日続伸しているダウ工業株30種平均が、 週末を控えて調整の可能性もあるとして、そうなれば、米金利の低下に 伴ってドル安・円高に振れやすいとみている。

米指標発表後の金利動向見極め

この日の米国時間には3月のミシガン大学消費者マインド指数のほ か、2月の鉱工業生産や消費者物価指数(CPI)などの経済指標が発 表される。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、米国の経 済指標は好調を維持しているものの、足元では米国債が値ごろ感で買わ れて長期金利の上昇が一服していると説明。米経済への期待だけで、ド ルが上昇してきたが、いったん市場が冷静になってしまうと、なかなか 上値追いのムードには戻りにくくなるとして、米国時間には指標の結果 を受けた金利動向が注目されるといい、調整局面入りするかどうかの 「正念場」になるとみている。

15日に米国で発表された経済指標では、先週の新規失業保険申請件 数が前週比で減少。また、ニューヨーク連銀が発表した3月の同地区の 製造業景況指数は20.2と、2010年6月以来の水準に上昇。フィラデルフ ィア連銀管轄地区の製造業活動も3月にほぼ1年ぶりの速いペースで拡 大した。

米国債市場では10年債の利回りが一時2.35%と、昨年10月28日以来 の高水準を付けている。

日米政策に格差

一方、日本銀行は16日、2月13、14日に開いた金融政策決定会合の 議事要旨を発表。それによると、何人かの委員は「より長い目で見た場 合には、目指すべき物価上昇率は1%を上回る水準に高まる可能性」が あると述べたことが分かった。

外為どっとコム総研のジェルベズ氏は、基本的に日銀が緩和姿勢を 強化している半面、米国は景況感の改善を背景に積極的に緩和方向に動 いていないとの見方が生じやすく、「日米の違いは明確」だとし、再び ドル安・円高トレンドに戻るような感じではないとしている。

米リッチモンド連銀のラッカー総裁は、同連銀のウェブサイトに掲 載した資料で、「経済は緩やかなペースで拡大しており、インフレ率は 連邦公開市場委員会(FOMC)の2%目標に近い」と指摘。「景気拡 大が続く中、インフレ圧力を防止するためフェデラルファンド(FF) 金利を引き上げる必要がある」と記した。

外為オンラインの佐藤氏は、原油価格の上昇でインフレの上振れ警 戒感がある中で、米連邦準備制度理事会(FRB)では異例の低金利政 策の時間軸が2014年後半まででいいのかという点を確かめる状況になり つつあるという感があると指摘。経済指標を見ながら、場合によっては 時間軸前倒しの可能性もあるとしている。

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