嘆くスミス氏に助言、ゴールドマンの目的は確かに金だ-社説

グレッグ・スミス氏が12年近く前に 米ゴールドマン・サックス・グループに入社した時、有名なこの投資銀 行は何やら人々の希望をかなえる慈善団体のような組織であったらし い。世界に光と平和と幸福をもたらすのが唯一の存在目的であるかのよ うな。

同社のエグゼクティブディレクターで欧州・中東・アフリカ地域で の米国株デリバティブ(金融派生商品)事業の責任者だったスミス氏 は、14日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)に寄せた「なぜ私 はゴールドマン・サックスを辞めるのか」と題した手記で、その詳細に は触れていない。しかし、ゴールドマンのバンカーが外出できないお年 寄りに花を届けたり、捨て猫を保護して日々を過ごす姿が想像される。 お客様への奉仕こそ至上の使命だ。スミス氏は「金もうけだけではなか った。会社への誇りや信念に支えられた社風だった」と記した。

そんなスミス氏にとって、ゴールドマンの主たる目的が実は金もう けだったとの結論に至った時はかなりのショックだったに違いない。目 からうろこが落ちるのに10年以上かかったらしい。

同氏はゴールドマンが変わったと言う。かつての社風は「常にゴー ルドマンの成功を支える重要な部分だった。チームワークや誠実さ、謙 遜の精神、そして常に顧客のために行動するということを中心に成り立 つ文化」だったそうだ。そして、「顧客がいなければ金もうけはできな い。存在すらできない」と警告する。事業継続には顧客が必要だと気付 く社員1人をゴールドマンが失うとは悲劇的だ。

ゴールドマン一筋10年以上

しかも、なんという社員だろう。大学時代にインターンとして働い てから、そのまま今日までゴールドマン一筋で働き上げてきた。さらに 「ゴールドマンが採用活動で訪問する世界中の大学で上映されるリクル ート用ビデオに登場する10人の中に選ばれた」人物だ。

ここでスミス氏やゴールドマンに応募する何千という大学生に対し て、助言しておこう。人のために人生を捧げたいと思うなら、ゴールド マンでは働かないことだ。それは同社が機能するところではないし、今 後も決してそうならないだろう。猛烈に働いてその仕事に見合う以上の 報酬を得ることを望むなら、ゴールドマンで働くがよい。

ゴールドマンを含め、投資銀行は経済で重要な役割を担っている。 だからゴールドマンのバンカーは、少なくともその大半は、堂々として いられるはずだ。ただ、彼らの仕事は慈善事業ではない。ゴールドマン の顧客は大部分がかなりの金持ちだ。同社がもはや、顧客に仕えるので はなく自社を優先しているとスミス氏は嘆くが、われわれの心を揺さぶ りはしない。

原題:Yes, Mr. Smith, Goldman Sachs Is All About Making Money: View(抜粋)

ブルームバーグ・ビューの論説委員室への問い合わせ先: view@bloomberg.net.

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