渡辺国際協力銀CEO:今、金融緩和の必要ない-介入効果一時的

国際協力銀行(JBIC)の渡辺博 史経営責任者(CEO)は、円高阻止の方策として、為替介入の効果は 一時的にとどまり、金融緩和の方が効果的との見方を示した。もっとも 2月の日本銀行の追加緩和決定後、円高は修正されており、「特段今は 金融緩和をする必要はない」との認識を示した。

元財務官の渡辺氏は13日に行ったブルームバーグ・ニュースのイン タビューで語った。同氏は「為替介入は短期的にしか効かない」とした 上で、「介入よりはファンダメンタルな金利、あるいは金融市場の流動 性の大きさの方が効くのは間違いない」と述べ、金融緩和による流動性 の拡充がより効果的との考えを明確にした。

日銀は先月14日の金融政策決定会合で、資産買い入れ等基金のうち リスク資産などの買い入れを10兆円拡大する追加緩和を決定。さらに 「中長期的な物価安定のめど」として、「当面、消費者物価(CPI) の前年比上昇率1%」を目指し、「強力に金融緩和を推進していく」と 表明した。緩和を背景に円相場の下落が加速し、足元では約11カ月ぶり 円安水準の1ドル=83円台で推移している。

渡辺氏は円安に推移している背景について、「現行の金融政策を継 続させるとする米国に、白川方明日銀総裁が歩調を合わせて日米の金利 予測の方向感が一致した」ことから、市場が2国間の金利差が平行で推 移すると認識し、円高・ドル安の見通しを修正したと説明した。

原油高の影響

一方、原油を「今年のダウンサイドリスク」として挙げ、イラクに よってホルムズ海峡が封鎖された場合の価格高騰に懸念を表明。「エネ ルギー価格が上がった時に円安になると、日本経済に影響を与える。急 激に円安になることが良いかどうかはもう少し長い目で見なければなら ない」と述べた。

政府・日銀は長引く円高を受け、2010年9月以降、総額約16兆円 の円売り・ドル買い介入を実施した。これに対し、渡辺氏は「相場水準 をいくらにするというレベルセッティングでなく、日本の基礎的諸条件 (ファンダメンタルズ)と為替相場の向きが違っていることに対する政 府の意思表示は必要だ」と、介入を容認した。

ギリシャなどの政府債務危機を背景とした欧州経済の動向について は、「二番底はないだろう」とした上で、「マクロ経済も銀行システム も全治2年ぐらい。2014年くらいになれば欧州の回復は見えてくる」と 言明。欧州各国だけでなく、域外の中国や日本が、国際通貨基金(IM F)や欧州金融安定ファシリティー(EFSF)などを通じて下支えす る必要性も強調した。

恒常的な経常収支の赤字は10年先

日本が恒常的な経常赤字に陥るとの市場の見方については、「いつ か経常赤字になることは間違いない」としながらも、「10年間は経常赤 字にならないだろう」と指摘。貿易収支の赤字化が起きても、「所得収 支をひっくり返すようになるのはしばらく先だ」と述べた。

その上で、「日本企業がM&A(合併・買収)も含めて海外の資産 を買いに行くかどうか。今は政府も民間も海外での資産の積み上げに踏 み出しており、将来の所得収支はプラスに動いている」と述べ、政府の 円高対応緊急ファシリティの積極的な活用による所得収支の押し上げに も意欲を示した。

政府は昨年8月に外国為替資金特別会計のドル資金を活用し、JB ICを通じて民間の海外M&Aや資源開発を支援する最大1000億ドル (約8兆円)の低利融資枠を1年間の時限措置として創設。その後、2 兆円を上積みし、計10兆円規模に拡充した。今年2月、第1号案件とし て、ソニー・エリクソンを完全子会社化したソニーと、スイスのランデ ィス・ギアを買収した東芝が同ファシリティを通じて買収資金を調達し た。

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