ブラジルの石油ブーム、巨大資源国の新たな呪縛に

ブラジルの地質学者らが2007年、米 州では過去30年で最大規模の油田を発見した。海面下5マイル(約8000 メートル)以上の地層奥深くに眠る油田の発見で、同国の原油埋蔵量 は62%増加すると推計された。

ブラジルは既に、世界最大規模の天然資源国の一つだ。コーヒー生 豆や砂糖、オレンジ果汁、牛肉の輸出量は世界首位を誇る。有数のエネ ルギー生産国になるとの期待は、愛国心が高まる中、当時のルラ大統領 が「神様はブラジル人に違いない」と述べたことによりさらに強まっ た。

ブラジルは過去50年間、原材料への依存の打破を目指し、資源の呪 縛を解こうと努めてきた。ゴールドマン・サックス・グループの中南米 担当シニアエコノミスト、アルベルト・ラモス氏(ニューヨーク在勤) は新たな原油収入について、利益をどう管理するかによって成長の新時 代をけん引する天の恵みにも、発展を阻止する重荷にもなり得ると指摘 する。

ラモス氏は電話インタビューで「ブラジルはノルウェーのようにな ることもできるし、原油が経済成長や発展に結び付かなかった他の多く の国々のようになる可能性もある。堅実に将来を見据えて利用した方が いい。さもなければ悪影響を及ぼす可能性がある」との見方を示した。

工業化が進むアジアの食料と金属の需要拡大を背景に商品相場は過 去10年間で3倍に上昇。ブラジルはイタリアとスペインを抜き世界6位 の経済国となった。ブラジル産鉄鉱石と大豆の価格上昇に加え国外から の直接投資が約7倍に増加したため、同国の通貨レアルはこの間に2倍 に上昇。ブルームバーグが調査対象としている163の通貨のうち最大の 上昇率を示している。

恩恵

恩恵は広範囲に及んでいる。ブラジルでは数百万人が貧困を脱し、 国内総生産(GDP)に対する純債務比率は60.4%から37.2%に低下し た。ドイツの比率は83.2%となっている。

ただ、商品相場の変動性は高く、資源国経済はその影響を受けやす い。資源関連の取り組みが他分野の成長を抑制する可能性もある。キャ ピタル・エコノミクス(ロンドン)の新興市場担当エコノミスト、ニー ル・シアリング氏は、新興国の生産性の伸びの大半は製造業が中心であ り、農業や資源生産ではないと指摘する。

シアリング氏は電話インタビューで「極めて強力な資源主導の経済 成長の結果の一つとして、資源以外の産業が圧迫される傾向がある」と 説明。「裕福で、かつ大規模な資源国になることは可能ではあるが、か なり難しい」との見方を示した。

原題:Brazil Faces New Oil-Boom Curse as the World’s Resource Engine(抜粋)

--取材協力:Ye Xie、Mario Sergio Lima、Andre Soliani、Eric Roston.

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