3月12日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:ドルが総じて上昇、米成長期待で-ユーロ小幅高に転じる

ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨の大半に対して上 昇。米経済統計が景気の強さを示す結果となり、米金融当局が追加景気 刺激策を決定するとの見方が後退したのが背景。

ノルウェー・クローネなどの高利回り通貨やユーロは対ドルで一時 の下げを埋めて小幅高に転じた。リスク志向の高まりによる株高が背 景。オーストラリア・ドルとニュージーランド・ドルは下落。中国人民 銀行(中央銀行)が人民元の中心レートを元安方向に引き下げたことが 手掛かりだった。2月の中国貿易収支は少なくとも22年ぶりの大きな赤 字幅となった。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のド ル指数は一時6週ぶり高水準に上昇。先週発表された2月の米雇用統計 で予想以上の雇用増が示された。

ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フ ラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は「先週発表された良好な雇用統 計を受けて、投資家は次の小売売上高と米連邦公開市場委員会 (FOMC)の声明を控えて様子見に回っている」と述べ、「明るいニ ュースを材料にドルは上昇している」と続けた。

ニューヨーク時間午後5時1分現在、ドルは対ユーロで0.2%下げ て1ユーロ=1.3155ドル。ドルは対円で0.3%安の82円23銭。

ドル指数

ユーロは対円で下げを縮小。欧州の財務相は12-13日とブリュッセ ルで会合を開き、ギリシャ向け第2次支援策の実行に向け前進する。

ブラジル・レアルは対ドルで最大2.3%安。同国はレアルの上昇に 歯止めをかけるため、償還・返済期間が5年以内の国内企業による海外 での借り入れと社債にも6%のIOF税(金融取引税)を適用する。レ アル高の抑制策は今月に入り、これが3つ目となる。

ドルは主要16通貨のうち10通貨に対して上昇。ドル指数は前営業日 比0.2%下げて79.867。一時は80.132と1月25日以来の高水準まで上げ た。

対米ドルでの豪ドルは0.6%安、NZドルは0.4%値下がりした。

良好な経済統計

ブルームバーグがまとめた調査によると、13日発表の2月の米小売 売上高は前月比で1.1%増と、過去5カ月間で最大の伸びが予想されて いる。

米労働省が発表した2月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数 (事業所調査、季節調整済み)は前月比22万7000人増。ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は21万人増だった。 家計調査に基づく失業率は8.3%で前月と変わらず。

UBSの外為ストラテジスト、クリス・ウォーカー氏は、「ドルは もはやリスク回避の動きだけでは上昇しない。今は良好な経済統計がド ルを押し上げる材料になるだろう」と分析。「追加緩和策への見通しが 弱まっていることから、この変化はさらなるドル高への道を開く」と続 けた。

◎米国株:売り優勢、中国の景気減速で買い慎重-騰落比率は5対7

12日の米株式市場は売り優勢。今年一番の薄商いとなった。中国 が国内の景気減速を受けて一段の金融緩和策に踏み切るかどうかを投資 家は見極めようとしている。

商品相場の下落を背景に、産金で米最大手のニューモント・マイニ ングと油田サービスのシュルンベルジェが下げた。銀行株も安い。米連 邦準備制度理事会(FRB)が今週発表する米銀のストレステスト(健 全性審査)の結果に対する懸念が強まったことが背景。欧州のソブリン 債を保証するコストが8週間ぶり高水準に上昇したことも嫌気された。 S&P500種株価指数で経済成長に最も左右されにくい公益と通信サ ービス株は上昇した。米アップルは1.3%高。

ニューヨーク時間午後4時現在、米取引所の騰落比率は5対7。出 来高は約52億株。この日のS&P500種株価指数は前週末比0.1% 未満上げて1371.09。ダウ工業株30種平均は37.69ドル(0.3%) 高の12959.71ドルだった。小型株で構成するラッセル2000指数 は0.3%下げて814.29となっている。

ビクトリー・キャピタル・マネジメント(ニューヨーク)のエリッ ク・マロナク最高投資責任者(CIO)は、「米国は堅調だが、中国が 大きな不確定要素だ」と指摘。「再び軌道に乗せるためにどれほどの金 融緩和が必要になるのか。欧州も引き続き大掛かりな作業が進行してい く。ギリシャ情勢が明確になってきた現在、市場は第2、第3のドミノ に目を向け始める」と述べた。

S&P500種は過去4週間に2.1%上昇した。予想を上回る経済 統計の発表が続いたほか、企業決算が3年連続でアナリストの四半期利 益予想を上回ったことが背景。同指数は年初来9%上昇している。

中国の景気

株式相場はもみ合う展開。中国の2月の貿易収支が少なくとも22 年ぶりの大幅赤字となったことが手掛かり。中国はまた、1-2月の工 業生産が2009年以来の低い伸びとなり、小売売上高はエコノミスト 予想の中央値を下回った。ブリュッセルで開催のユーロ圏財務相会合 (ユーログループ)では、スペインの財政赤字削減の取り組みやポルト ガルの支援プログラムが重点的に協議されるほか、1300億ユーロ(約 14兆円)の第2次ギリシャ支援策が承認される見通し。

この日はエネルギーと素材株指数の下げが目立った。商品24銘柄 で構成するS&PのGSCI指数は0.4%下落した。ニューモント・ マイニングは2%下落。シュルンベルジェは2.4%安で引けた。

UBSウェルス・マネジメント・アメリカスのチーフ投資ストラテ ジスト、マイク・ライアン氏(ニューヨーク在勤)は、「一部の市場参 加者は、この日の軟調な相場は中国の成長鈍化を示す指標が材料視され たためだと指摘している」と述べた。

銀行株が下落

KBW銀行指数は0.7%下落。同指数を構成する24銘柄中17 銘柄が下げた。JPモルガンは1.2%安。リージョンズ・ファイナン シャルは2.9%下落した。

アナリストらによれば、米銀のストレステストの結果は投資家の失 望を誘う可能性がある。再び深刻なリセッション(景気後退)に陥った 場合、消費者向けの与信に関連する損失が業界の想定を上回るとFRB の審査官らは予想していることがその理由。

事情に詳しい関係者2人が先週語ったところでは、FRBは住宅ロ ーンとクレジットカードについて、1月に銀行が提出した資本計画の想 定を上回る損失を全般に見込んでいる。金融機関は具体的に特定してい ない。ストレステストの結果公表後に90億ドル(約7400億円)相 当の配当引き上げと自社株買いが発表されるとアナリストはみている が、 損失見通しの乖離(かいり)はその一部を危うくすることになりかねな い。

米アップルはこの日1.3%上昇し、最高値を更新した。同社株は この4営業日で4.1%上げた。

◎米国債:上げ縮小-FOMCが追加緩和示唆するとの観測が後退

米国債相場は上げを縮める展開。米金融当局が追加の資産購入を示 唆するとの観測が後退した。またこの日の3年債入札(発行額320億 ドル)で需要が市場予想を下回ったことも手掛かり。

3年債入札では、最高落札利回りが0.456%だった。入札直前の 市場予想の平均は0.45%。財務省は13日に10年債(発行額210 億ドル)、14日に30年債(同130億ドル)の入札を実施する。13 日には連邦公開市場委員会(FOMC)の会合が開催される。

RBCキャピタル・マーケッツのトレーダー、ダン・マルホランド 氏(ニューヨーク在勤)は「入札は順調にいくだろう」とし、「利回り は投資家が留意する水準に落ち着きつつある。10年債では2.05-

2.10%といったところだ。FOMCにはそれほど期待していない。現 状維持だ」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後4時59分現在、10年債利回りは前週末比ほぼ変わらずの

2.04%。一時1.99%まで下げた。同年債(表面利率2%、2022年 2月償還)価格は1/32上げて99 22/32。

既発3年債の利回りはほぼ横ばいの0.45%。30年債利回りは1 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し3.17%。

3年債入札

3年債入札では、外国の中央銀行を含む間接入札の落札全体に占め る比率は34.6%だった。過去10回の入札の平均は36.8%。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接入 札の落札比率は8.9%。過去10回の入札の平均は11.1%。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、スコット・シ ャーマン氏(ニューヨーク在勤)は「ディーラーによる3年債の買越幅 が大きく、海外投資家がこのところ3年債を避けるなど、入札にマイナ スとなる材料がいくつかあった」とし、「特に金融当局が3年債をこれ だけ多く売却していることを考えれば、入札は悪い結果ではなかった」 と続けた。

この日は30年債を中心に上昇した。ニューヨーク連銀は償還期限 が2036年2月から42年2月の米国債19億6900万ドル相当を購 入した。

ツイストオペ

国際決済銀行(BIS)が11日発表したリポートによれば、いわ ゆる「オペレーション・ツイスト」と呼ばれる政策により、10年債利 回りは約85bp低下する可能性がある。これまで量的緩和策として2 回実施された債券購入では、利回りは164bp低下した。

キャボット・マネー・マネジメントの債券マネーマネジャー、ウィ リアム・ラーキン氏は「ツイストオペの動向が注目されるだろう」と し、「10年債利回りは2%にしっかりとどまっている」と続けた。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は1月25日の FOMC会合後、景気押し上げのため政策当局は追加の資産購入を検討 していると述べた。

◎NY金:反落、1700ドル割れ-中国の減速懸念で商品全般に売り

ニューヨーク金先物相場は反落。オンス当たり1700ドルを割り 込んだ。中国経済の減速で原材料の需要が減退するとの懸念から、こ の日は商品が全般に下げた。

商品24銘柄で構成するS&PのGSCI指数は一時1.2%下落。 中国の2月の貿易収支は少なくとも1989年以来最大の赤字となった ほか、同国の1-2月の工業生産は2009年以来の小幅な伸びにとど まり、小売売上高は市場予想を下回った。

ビジョン・ファイナンシャル・マーケッツ(シカゴ)の金属トレ ーディング担当ディレクター、デーブ・メーガー氏は電話インタビュ ーで「中国をめぐる懸念で、金を含む商品全般が影響を受けている」 と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 4月限は前営業日比0.7%安の1オンス=1699.80ドルで終了。先 週末までの3日間では2.4%値上がりしていた。年初からは8.5%上 昇。

◎NY原油:反落、中国経済成長に減速の兆しで-106.34ドル

ニューヨーク原油先物相場は4営業日ぶりに下落。中国の経済指 標で成長減速が示唆されたことが響いた。

中国の2月の貿易収支は少なくとも1989年以来最大の赤字とな った。また、同国の1-2月の工業生産は2009年以来の小幅な伸び にとどまったほか、小売売上高は市場予想を下回った。

エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・ キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は 「市場は中国の現状を見極めようとしている」と指摘。「中国の経済 活動が非常に疑問視されている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前営 業日比1.06ドル(0.99%)安の1バレル=106.34ドルで終了。 前週末は107.40ドルと1日以来の高値で終えていた。今年に入って からは7.6%値上がりしている。

◎欧州株:反落、中国が1989年以来最大の貿易赤字-テメノス安い

12日の欧州株式相場は反落。ストックス欧州600指数の上昇は 前週末までの3営業日連続で止まった。中国の予想以上の輸出鈍化が響 いた。

金属が値下がりし、鉱山株が安い。英ソフトウエアメーカーのマイ シスが統合協議を打ち切ったスイス同業のテメノス・グループは

4.9%安。イタリアの銀行、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナは 5%下げた。筆頭株主が同行株の一部をローンの担保として保有する銀 行と合意に至り、同株式の売却が可能になることが手掛かり。

ストックス欧州600指数は前週末比0.2%安の264.87で終了。 9日までは予想以上の米雇用改善やギリシャ債務交換を好感して3日連 続で上昇したが、中国当局が10日発表した同国の2月の貿易収支は、 少なくとも1989年以来最大の赤字だった。

カップストリーム・キャピタル(シドニー)のマネジングディレク ター、スティーブ・ゴールドマン氏はブルームバーグテレビジョンで、 「中国が唯一のマイナス材料となっている可能性がある」と指摘。「年 明けの相場は幸先良いスタートを切っており、世界経済へのリスクは3 -5カ月前と比べかなり小さくなった」と付け加えた。

ストックス欧州600指数は年初来では8.3%上昇。欧州中央銀行 (ECB)の3年物資金供給や予想を上回る米経済指標が支えとなって きた。この日の西欧市場では、18カ国中11カ国で主要株価指数が下 落した。

◎欧州債:独10年債上昇、4カ月ぶり低利回り-ギリシャ財政懸念で

12日の欧州債市場ではドイツ国債が上昇し、利回りはほぼ4カ 月ぶりの低水準となった。ユーロ圏諸国がギリシャ向け第2次支援策を 承認する見通しとなったものの、同国財政が悪化するとの懸念が手掛か り。

ドイツ10年債相場は続伸。この日発表された同国の卸売物価指数 (WPI)が2月に鈍化し、国債の価値保存に寄与した。ギリシャ債を 保有する民間投資家が先週に損失受け入れで合意、ユーロ圏財務相会合 (ユーログループ)がブリュッセルでこの日に開かれる。ギリシャ政府 が債務再編で集団行動条項(CAC)を発動。これを受けて32億ドル 相当のギリシャ債を保証するCDSの決済を必要とする信用事由が発生 したと認定されたことから、ギリシャ債の保証コストは8週間ぶり高水 準に達した。

モニュメント・セキュリティーズのストラテジスト、マーク・オズ ワルド氏(ロンドン在勤)は「ギリシャの信用事由の影響を見極め、ユ ーログループを注視する動きがあり、これがドイツ国債の支援要因とな っている」と述べ、「ギリシャが注目されなくなることは決してない。 警戒感が多少高まったが、マイナスというよりは警戒だ」と続けた。

ロンドン時間午後4時9分現在、ドイツ10年債利回りは前週末比 4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.76%。一時 は1.74%まで下げ、昨年11月15日以来の低水準を付けた。同国債 (表面利率2%、2022年1月償還)価格はこの日、0.345上げ

102.175。

ドイツ連邦統計庁の発表によると、2月の卸売物価指数は前年同月 比2.6%上昇。1月は3%上昇だった。

◎英国債:10年債上昇、利回りは月初来最低

12日の英国債市場では10年債が4営業日ぶりに上昇、利回り は月初来の最低を付けた。ユーロ圏景気の減速兆候を背景に、比較的安 全とされる英国債の需要が高まった。

イタリアが昨年10-12月(第4四半期)にリセッション(景気 後退)入りした上、ギリシャは第2次支援を確保しても簡単には回復し ないとの懸念は強まっている。また、英銀ロイズ・バンク・コーポレー ト・マーケッツの12日付リポートによると、英国民の失職に対する懸 念は2カ月連続で和らいだものの、関連指数は依然として危機前の平均 水準を下回っている。

RIAキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、ニック・ス タメンコビッチ氏(エディンバラ在勤)は「ユーロ圏でもとりわけ周辺 国で状況が改善し始める明らかな兆候が見えるまで、投資家は財政の先 行きに注目し続ける。それで安全な逃避先としての英国債は恩恵を受け る」と説明。「投資家は英景気見通しに慎重なままだ」とも語った。

ロンドン時間午後4時41分現在、10年債利回りは前週末比6ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.09%。先月28 日以来の低水準を付けた。同国債(表面利率4%、2022年3月償還) 価格はこの日、0.605上げ117.110。

イタリア国家統計局(ISTAT)がこの日発表した第4四半期の 国内総生産(GDP)統計(改定値)は前期比0.7%減となった。7 -9月(第3四半期)は0.2%減だった。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net Editor: Mariko Rakuyama, Shigeru Chiba ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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