ドルが82円台前半で伸び悩み、日米の金融政策会合を見極め

東京外国為替市場では、ドル・ 円相場が1ドル=82円台前半で伸び悩んだ。市場の予想を上回る米 雇用統計を受けてドル買いが進んだものの、上昇スピードへの警戒感 が生じたほか、週内に予定されている日米の金融政策決定会合を見極 めたいとの姿勢も強く、ドルの上値は限られた。

前週末の海外市場では一時82円65銭と、昨年4月27日以来 の水準までドル高・円安が進行。ドル・円相場の相対力指数(RSI、 14日ベース)はドル買われ過ぎの目安となる70を上回っており、 週明けの取引では朝方に付けた82円57銭を上値にじり安に展開。 午前には一時82円11銭まで下押しされた。午後4時10分現在は 82円23銭付近で取引されている。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフF Xストラテジストは、日本銀行がだいぶ積極的な緩和姿勢に変わって いるという見方が前回会合以降の円全面安の一因であることは確かだ とした上で、今回の会合でその流れがサポートされるのか、あるいは 「冷や水」を浴びせられるのかが焦点になると説明。結果を見てみな いと分からないとした上で、円は日銀の緩和姿勢を材料に売られ続け ていたので、「調整の方のリスクを警戒したい」としている。

円は主要16通貨に対して全面高の展開となり、ユーロ・円相場 は午前の取引で一時1ユーロ=107円52銭と、2営業日ぶりの水準 までユーロ安・円高が進んだ。

日米金融政策を見極め

日銀は12日から2日間の日程で金融政策決定会合を開催。また、 米連邦準備制度理事会(FRB)は13日に連邦公開市場委員会(F OMC)を開く。

日銀の白川方明総裁は8日、衆院財務金融委員会で、デフレ脱却 は極めて重要な課題であり、「今後とも日銀としては、先行きの経 済・物価動向を注意深く点検した上で、デフレ脱却に向けて全力を挙 げていきたい」と語った。

一方、9日に米国で発表された2月の雇用統計によると、非農業 部門の雇用者数は前月比で22万7000人の増加と、ブルームバー グ・ニュースがまとめた市場予想の中央値21万人増を上回った。ま た、1月分の増加幅は28万4000人と、速報値の24万3000人か ら上方修正された。

しかし、家計調査に基づく失業率は8.3%で前月と変わらず。 FRBのバーナンキ議長は2月29日に下院金融委員会で証言し、 「現在のところ、失業率が高水準にとどまり、インフレ見通しは抑制 されていることから、極めて緩和的な金融政策スタンスの維持が二つ (物価安定と最大限の雇用確保)の目標達成に向けた取り組みと合致 していると、FOMCは判断している」と述べている。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、米国では雇用 の大幅増加が示されたものの、失業率が高止まりしている状況下では、 FRBが「慎重姿勢を崩すとは考えにくい」とし、楽観ムードの修正 に伴うドル売りが出やすいとみている。

ギリシャ懸念は沈静化

一方、ギリシャ政府が民間投資家に提案していた債務交換は、

95.7%を保有する債権者が参加することとなった。政府は自発的参 加者以外にも減免を強制する集団行動条項(CAC)も活用し、史上 最大のソブリン債再編を実行する。

発表によると、ギリシャ法に基づく債券1520億ユーロ(交換対 象の85.8%)の保有者が自発的参加を表明。外国法下の債券200億 ユーロの保有者も提案を受け入れた。外国法下の債券の保有者は23 日まで受け入れ期間が延長されている。

ユーロ圏財務相は9日の電話会議で、債務交換が実現することは 1300億ユーロ規模の第2次救済への条件をギリシャが満たしたこと を意味するとの見解で一致。また、債務交換のインセンティブとギリ シャの利払い原資となる計355億ユーロ相当の支払いも承認した。 救済の主要部分である残りの額については12日にブリュッセルでの 会合で決定する。

半面、ドイツのショイブレ財務相は電話会議後にベルリンで記者 団に対し、「これで難局を脱したと考えるのは間違いだ」との見解を 示した。また、「われわれには成功するチャンスがある。この機会を 捉えなければならない」と語った。

格付け会社フィッチ・レーティングスは9日、ギリシャの長期外 貨建て・自国通貨建て発行体デフォルト(債務不履行)格付けを、一 部債務不履行を意味する「リストリクティッド・デフォルト(RD)」 に引き下げた。従来は「C」としていた。

ユーロ・ドル相場はこの日の東京市場午前の取引で一時1ユーロ =1.3079ドルと、2月16日以来の水準までユーロ安が進行。午後 は1.31ドル台に値を戻して推移した。

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