【日本株週間展望】速度超過で足踏み、テクニカル再過熱

3月2週(12-16日)の日本株は、 上昇スピードの速さに警戒感がある上、年度末に向け国内機関投資家 の売り圧力が続き、足踏みしそうだ。テクニカル指標が再び相場の過 熱を示唆している点も、売りが出やすくなる一因。為替動向には引き 続き注視が必要で、一段の円安進行は株価指数の下支え役になり得る。

足元の相場水準は「ちょっと上に行き過ぎている」と言う東京海 上アセットマネジメント投信の久保健一シニアファンドマネジャーは、 過熱を警戒する動きから「高値もみ合いか、やや調整する可能性が高 い」と予想した。

第1週の日経平均株価は、前週末比1.6%高の9929円74銭と5 週連続で上昇。円安基調の一服、ギリシャの債務減免交渉の不透明感 から週前半は時価総額上位の電機、輸送用機器など輸出関連株を中心 に売り優勢だった。後半は一転し、先物主導で急伸。ギリシャの交渉 がまとまり、円も対ドル、対ユーロで円安方向に振れ、日中ベースで は昨年8月1日以来、7カ月ぶりに1万円の大台を回復した。

日経平均は年初から17%上昇し、上昇率は米S&P500種株価指 数の8.6%、ストックス・ヨーロッパ600指数の8%をしのぐ。こう した中、東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオ(25 日移動平均)は9日、2週間ぶりに140%を超えてきた。同レシオは、 120%を超すと相場の過熱圏入りを示し、足元でやや低下基調にあった が、再度上昇している。日経平均と25日移動平均線の上方かい離率も、 きょうの高値時点で6.9%と短期過熱を示す5%超。SBI証券投資 調査部の鈴木英之部長は、「上げてきた反動には注意が必要」と見る。

生保、信託銀経由の売り続く

投資主体別の売買動向を見ると、国内金融機関の売り越し基調が 続いている。2月5週(2月27日-3月2日)まで生保・損保が9週 連続、年金資金などの動きを反映する信託銀行が3週連続の売り越し。 信託銀の2月売越額は、1年ぶりの高水準に膨らんだ。

立花証券の平野憲一執行役員は、「3月期決算に向けて金融機関の 売りは続く」と指摘。生・損保は健全性の指標であるソルベンシー・ マージン比率を改善させるため、株式の売却を進めているほか、信託 銀に含まれる年金資金は、支給増加で資金流出超となり、資産を取り 崩さざるを得ない状況と言う。

これに対し、海外投資家は10週連続の買い越しで、昨年末からの 日本株買いの姿勢を維持する。ただ平野氏は、「世界的なカネ余りを受 けて年初から買っていたヘッジファンドの一部はすでに売りに転じて いる」とし、日本株は海外勢以外に明確は買い主体が不在のため、「海 外勢の買いが止まれば、日本株は下がる」と警戒感を示した。

為替との相関強まる

第2週に注視される材料は12、13両日に日本銀行の金融政策決定 会合が開かれ、米国でも連邦公開市場委員会(FOMS)が13日に開 催予定。東京海上アセットの久保氏は、「両国とも新しい政策が打ち出 される可能性は低い」としながらも、日銀会合では資産買い入れ対象 の長期国債の年限を引き上げるとの期待が一部であり、「そうなると、 為替がさらに円安に振れる可能性がある」と言う。

ブルームバーグ・データによると、2月中旬からドル・円相場と 日経平均の相関性は上昇しており、相関係数は直近で0.76(1が100% の順相関)。2月に入り急速に円安・ドル高基調が強まり、2月1日の 1ドル=76円3銭から、3月2日には1ドル=81円87銭まで円安が 進んだ。株式相場に過熱感はあるが、一段の円安進行となれば、自動 車など輸出関連企業の収益改善期待が強まり、日経平均は終値でも1 万円を回復する可能性も残る。

米国では、13日に2月の小売売上高、15日にフィラデルフィア連 銀景気指数が発表される。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予 想の中央値は、小売売上高で前月比1%増、フィラデルフィア連銀指 数で11.3と前月の10.2から上昇する見込み。東京海上アセットの久 保氏は、「米国経済の改善トレンドは続く」と見ており、堅調な米経済 指標が相次ぐと、日本株市場の追い風となりそうだ。

欧州落ち着く、国内新興市場ではIPO

一方、ギリシャ国債元本の53.5%に及ぶ債務減免の民間債権者と の交渉はほぼまとまり、同国への第2次支援も確実視される中、「目先、 欧州問題は落ち着く」と大和証券投資情報部の高橋卓也副部長は指摘 した。一時債務懸念が高まっていたスペインとイタリアの国債利回り も、スペイン2年債で2.4%付近、イタリア2年債で1.9%付近にまで 低下。今後は、4月に予定されているフランスの大統領選とギリシャ の議会選挙の展開に注視が必要、と高橋氏は言う。

このほか、日本株に影響を与えそうな材料は、国内で12日に1月 の機械受注、14日に1-3月の法人企業景気予測調査、欧州では13 日に3月の独ZEW景況感調査、14日に2月のユーロ圏消費者物価指 数が発表予定。また国内では、新興市場で新規株式公開が続き、14日 に携帯コンテンツ事業などを手掛けるエムアップ、15日にライフネッ ト生命保険がそれぞれ東証マザーズ市場に上場する。

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