円が全面安、欧米情勢楽観でリスク回避の修正継続-対ドル81円前半

東京外国為替市場では円が一段安 となり、対ドルでは1ドル=81円台前半と、2営業日ぶりの安値で推 移した。米国の雇用情勢やギリシャの債務交換をめぐる楽観的見方を背 景にリスク回避の動きを修正する動きが先行。1月の日本の経常収支 が過去最大の赤字に転落したことも加わり、円売り圧力が強まった。

ドル・円相場は午後の取引で一時81円40銭まで円が下落幅を拡 大。午後4時1分現在は81円31銭付近で推移している。円は主要 16通貨に対して全面安となり、対ユーロでは午後に一時1ユーロ= 107円26銭と、2営業日ぶりの水準まで切り下げた。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、ギリシャ情勢 に関する悲観論の修正に加え、米雇用統計に関しても、新規失業保険 申請件数の結果からみて底堅さが期待されており、「リスクオン(選 好) 的な相場展開になった」と説明。加えて、日本の経常赤字転落も 「い わゆる海外勢が好みそうな材料」だとし、欧州時間の序盤には円 売り が蒸し返される可能性があり、午後になって一段と円売りが活発 にな ったという。

日本側材料で「円は買いにくい」

財務省が発表した1月の国際収支状況(速報)によると、海外の モノやサービスの取引状況を示す経常収支は4373億円の赤字に転落。 赤字額はブルームバーグがまとめた市場予想の中央値3200億円を上 回り、過去最大となった。

みずほ総合研究所の武内浩二シニアエコノミストは、1月に過去 最大の赤字となったことは「最近の円安の流れをフォローする材料で はある」と指摘。ただ、「少なくとも年間ベースで見た経常収支は引 き続き黒字傾向が続くとみており、これで円安の基調が決まるという ことではない」としている。

また、日本銀行の白川方明総裁は8日午後の衆院財務金融委員会 で、デフレ脱却は極めて重要な課題であり、「今後とも日銀として は、先行きの経済・物価動向を注意深く点検した上で、デフレ脱却に向 けて全力を挙げていきたい」と語った。

上田ハーローの山内氏は、経常赤字に加えて、来週早々には日銀 の金融政策決定会合を控えており、「円は買いにくい」としている。

米雇用統計を見極め

一方、給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プ ロセ ッシング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが7日に発表 した給与名簿に基づく集計調査によると、2月の米民間部門の雇用者 数は前月比で21万6000人増と、前月の17万3000人増(修正値) を上回る伸びとなった。

みずほ総研の武内氏は、目先はギリシャ債務削減に向けた民間部 門関与(PSI)をめぐる不透明感があるものの、あすの米雇用統計 で米景気の堅調さが確認されれば、株高とともに「リスク回避の円高 の巻き戻し」が入りやすくなり、ドル・円も「目先はどちらかという と円安方向に動きやすくなる」とみている。

米国では9日に労働省が2月の雇用統計を発表する。ブルームバ ーグ・ニュースが8日までにまとめた市場予想によると、非農業部門 の雇用者数は中央値で前月比21万人の増加が見込まれている。

バークレイズ・キャピタルの逆井雄紀FXストラテジスト(ニュ ーヨーク在勤)は、ドル・円相場の方向性は米雇用統計次第だとし、 順調な労働市場の回復があらためて確認されれば、量的緩和第3弾 (QE3)の可能性が低くなると言い、「サポート要因」になると予 想。一方、予想比で下振れした場合は、景気の減速懸念につながり、 再びリスクオフの流れが加速する懸念が残るとしている。

また、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が事情に 詳し い関係者の話として伝えたところによると、米連邦準備制度理 事会(F RB)の当局者は、景気てこ入れへ新たな措置が必要と数 カ月先に判断される場合に備え、将来のインフレに対する懸念を抑え る形で債券購入を行う新たな種類のプログラムを検討しているという。

ギリシャPSI見極め

ギリシャの債務交換提案に対しては、対象総額の約60%相当の国 債を保有する投資家がこれまでに参加の意向を表明。史上最大のソブ リン債再編に向け前進した。ドイツのショイブレ財務相は7日、イタ リアでの講演後に記者団に対し、ギリシャの債務交換が成功すると 「非常に楽観的」であることを明らかにしている。

7日の欧州債市場では、安心感からイタリアとスペインの国債が 上昇。イタリア10年債利回りは昨年8月以来の最低に近づいた。ユ ー ロ・ドル相場は1ユーロ=1.3096ドルまで水準を切り下げた後、

1.31ドル台後半に値を戻し、この日の東京市場では午後の取引で一 時1.3183ドルまで買い進まれる場面も見られた。

ユーロ圏の財務相らはギリシャの債務交換提案の結果に関する電 話会議を9日午後2時ごろから行う。独財務省のコーテ報道官が明ら かにした。また、独財務省はギリシャ債交換の進展状況について情報 を得ていないとし、提案受け入れ期間が終了した後、8日夜の間に情 報が得られることも予想していないという。

バークレイズの逆井氏は、最終的にPSIの参加率がどの程度に なるかは誰も予測できないとし、「非常に不透明な部分が多い」と指 摘。ハードランディングのデフォルト(債務不履行)になるという可能 性は低いかもしれないが、「ゼロではない」と言い、イベントリスクが ある前は ポジションを取りにくいとしている。

--取材協力: 小宮弘子 Editor:Joji Mochida, Masaru Aoki

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