中国は中長期債を半年ぶり買い越し、全体は減少-日中連携が深化

財務省が8日発表した1月の国際収 支状況(速報)の対内証券投資によると、中国は日本国債などの中長期 債を1140億円買い越した。純増は半年ぶりで、買い越し額は昨年5月 以来の大きさ。短期債を2233億円売り越したため、全体では1097億 円の純減となったが、中国が円資産の保有を拡大する流れは変わってい ないとの見方が出ている。

1月は米追加金融緩和の観測からドル安が進行。分散投資先となる べきユーロ圏では債務危機で加盟国の格下げが相次いだ。日本はなお円 高・株安で、債券相場は堅調(金利は低位安定)だった。昨年末の野田 佳彦首相に続き、2月には安住淳財務相が訪中。日中は円・人民元の直 接取引促進に加え、欧州支援などの国際金融問題でも共同歩調を取る姿 勢を強めている。

みずほコーポレート銀行国際為替部の唐鎌大輔マーケットエコノミ ストは「中国が外貨準備のポートフォリオで非ドル資産を増やす流れは 変わらない」と分析。「日中間の貿易額は大きく、ドル相場の変動が大 きい」ため、円と人民元の「直接取引拡大は自然な流れだ」と語った。

中国の外貨準備高は昨年末、3兆1812億ドルで世界最大。人民元 相場の上昇を抑える為替介入などで1年間に11.7%増え、2位の日本 の約2.4倍となった。人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は4月、外 貨準備は「実際に必要とする合理的な水準」を超えており、運用・投資 の分散を改善すべきだと提言。共産党の機関紙、人民日報の日本語ウェ ブサイトは11月、外貨準備の「3分の2」がドル建て資産なので持続 的なドル安は「一定のリスク」だと指摘した。

米国債保有を削減

中国の米国債保有額は昨年12月に1兆1519億ドルで世界最大だ。 しかし、米国が初めて格下げされた8月以降は5カ月連続で残高を合計

12.4%削減。特に、米欧大手3社の格付け見通しが11月末に全て「ネ ガティブ」に下がると、12月は過去最大の減少とした。

人民銀の李稲葵貨幣政策委員は今月6日、北京で記者団に、中国に よる米国債保有の減少について、長期的な外貨準備分散の取り組みの一 環だと語った。保有額2位は日本で1兆582億ドル。

一方、欧州の債務危機に関しては、傅瑩外務次官が昨年12月、欧 州諸国を「救済」するために外貨準備を使うことはできないと言明。中 国の格付け会社、大公国際資信評価は11月以降、ギリシャやポルトガ ル、イタリアを相次ぎ格下げした。その後、先月14日には温家宝首相 が解決に向け関与を深める用意があると表明。人民銀の周総裁も翌日、 欧州各国債の保有継続などの姿勢を示した。

対日債券投資

日本銀行の統計によると、中国の対日証券投資残高は2010年に前 年比4倍の13兆8360億円。一方、財務省の国別売買データでは、中 国の投資急増が警戒され野田財務相(当時)が国会で説明に追われた同 年夏から失速。市場では、中国が国際的な金融取引の中心地である英国 を経由して対日投資を進めているとの見方が根強い。英国の対日証券投 資は昨年、過去最高の68兆3828億円となった。

国際通貨基金(IMF)によると、世界の外貨準備は昨年9月末に 前年比13.2%増の10兆1767億ドル。円は15.4%増の2060億ドル で、特に中国を含む新興国の保有が35.8%も増えた。通貨が判明して いる額に占める円の比率は3.8%で、05年3月末以来の高さとなった 3カ月前とほぼ横ばい。6月末に60.3%と過去最低を記録したドルは

61.7%に上昇。ユーロは25.7%と3年ぶりの低さとなった。

中国は貿易面に続き、金融の分野でも日本との結び付きを強める方 針だ。野田首相は昨年12月、北京で温家宝首相と会談。日本も外貨準 備を活用する形で中国国債に投資できるよう、人民銀に認可申請を進め ることで合意した。米ドルを介しての取引が一般的な日中通貨の直接交 換拡大などでも一致した。

先月19日には、安住財務相が北京で王岐山副首相と会談。IMF からの資金拠出要請など欧州債務危機の解決に向けた対応で共同歩調を 取ることで合意した。金融分野での関係強化の重要性を双方が改めて強 調した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE